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第6章 こころとからだのしくみ ・ レッスン6-5

死を迎えるときのからだとこころとは?5段階モデルと最期の変化

約5分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

もし重い病気で残された時間が短いと告げられたら、あなたの心にはどんな気持ちがわいてくると思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン6-4から

Q1. 前のレッスンの復習です。e-ヘルスネットによると、レム睡眠とノンレム睡眠は、約何分の周期で入れかわっていたでしょう?

答えを見る

正解: 2. 約90分
正解です。眠りは深いノンレム睡眠から始まり、約90分周期でレム睡眠がくり返し現れていました。

01キューブラー・ロスの5段階:死を受け入れていく過程のモデル

精神科医キューブラー・ロスは1969年、人が自分の死を受け入れていく過程を、否認・怒り・取引・抑うつ・受容の5段階で示しました。

心理学の教科書OpenStaxによると、キューブラー・ロスは、ホスピスケアの創始者たちとともに働いた人物です。5段階は、死にゆく人の心の動きを理解するための一つのモデルです。

たとえば、病名を告げられて「何かの間違いだ」と思うのが否認にあたります。「なぜ自分が」という怒りや、何かと引きかえに時間を求める気持ちが続くこともあります。

02段階どおりに進むとは限らない

OpenStaxは、段階が起こる順番は人によって異なり、すべての段階を経験しない人もいるとしています。

死に直面した人の誰もが、このモデルにある否定的な感情を経験するわけではない、という研究もあります。宗教や信仰を持つ人は、死に向き合いやすいという研究も紹介されています。

大切なのは、本人を段階に当てはめないことです。「今は怒りの段階だから」と決めつけず、その時その時の気持ちに耳を傾けましょう。

本人の望む医療やケアをどう尊重するかは、第5章「人生の最終段階の介護」で学んだ人生会議(ACP)を振り返りましょう。

03死が近づいたときの、からだの変化

MSDマニュアル家庭版は、死が近づくと意識が低下したり、手足が冷たく青みがかったり、呼吸が不規則になったりすることがあるとしています。

最期の数時間には、錯乱や眠気が生じることがあります。気管の分泌物やのどの筋肉のゆるみによって呼吸の音が大きくなることがあり、これを死前喘鳴と呼びます。

この大きな呼吸音は、本人が気づいていないときに生じます。姿勢を変えるなどで音を小さくする処置は、家族や介護する人を安心させることが狙いだとされています。

家族は、本人が他の人にうつる危険な感染症にかかっている場合を除き、本人に触れ、優しくなでてかまいません。こうした変化を前もって知っておくと、家族も心の準備がしやすくなります。

変化内容
意識意識が低下することがある。最期の数時間は錯乱や眠気が生じることがある
手足冷たくなって青みがかったり、斑点ができたりする
呼吸不規則になる
呼吸の音気管の分泌物やのどの筋肉のゆるみで大きくなる(死前喘鳴)。数時間続くこともある
死が近づいたときに起こりうる、からだの主な変化(MSDマニュアル家庭版「死が近づいたとき」をもとに作成。現れ方は人によって異なる)

あなたの場合は?

大切な人を見送るとき、そばにいる家族にどんな言葉をかけたいと思いますか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. キューブラー・ロスの5段階:否認→怒り→取引→抑うつ→受容。死を受け入れる過程の一つのモデル
  2. 順番は人によって違い、すべての段階を経験しない人もいる。本人を段階に当てはめない
  3. 死が近づくと、意識の低下、手足の冷え、呼吸の乱れ、死前喘鳴などが起こることがある

TERMSこのレッスンの用語

キューブラー・ロスの5段階Kübler-Ross five stages of grief

キューブラー・ロスが1969年に示した、人が自分の死を受け入れていく過程のモデル。否認・怒り・取引・抑うつ・受容からなる。

死前喘鳴Death rattle

死が近づいたときに、気管の分泌物やのどの筋肉のゆるみによって呼吸の音が大きくなること。

LESSON 6-5 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. キューブラー・ロスの5段階に含まれないものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 3. 自己実現
正解です。5段階は否認・怒り・取引・抑うつ・受容です。自己実現は、マズローの欲求階層説の頂上でした。

Q2. キューブラー・ロスの5段階について、OpenStaxの説明に合うものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 順番は人によって異なり、すべての段階を経験しない人もいる
ここがポイントです。5段階は一つのモデルで、段階どおりに進むとは限りません。

日常の場面で考える

Q3. あなたは施設の介護職です。看取りの時期にあるXさんの呼吸の音が大きくなり、家族が「とても苦しそうで見ていられない」と不安そうにしています。このレッスンの内容に合う対応はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 家族の不安を受け止め、すぐに看護職に伝える。こうした呼吸音は死が近づいたときに起こりうる変化だと、チームで説明につなげる
惜しかった人も大丈夫です。死前喘鳴は本人が気づいていないときに生じ、音を和らげる処置は家族の安心のためでもあります。対応は医療職と連携して行います。

レッスン6-5はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第6章 こころとからだのしくみ のレッスン一覧
  1. 6-1こころのしくみ
  2. 6-2食べるしくみと飲み込むしくみ
  3. 6-3出すしくみ
  4. 6-4眠るしくみと睡眠の変化
  5. 6-5死を迎えるときのからだとこころ

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出典(2件)
  1. OpenStax『Psychology 2e』9.4 Death and Dying
  2. MSDマニュアル家庭版「死が近づいたとき」(2024年7月更新)