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第6章 こころとからだのしくみ ・ レッスン6-1

こころのしくみとは?欲求・感情と、不安から心を守るはたらき

約4分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

おなかがとても空いているとき、人からどう見られるかを気にする余裕はあると思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

01欲求:マズローの欲求階層説

心理学者マズローは1943年、人の欲求を、生きるための欲求から自分の力を発揮する欲求まで、階層に並べて示しました。

よく描かれるピラミッドの図では、土台に生きるために欠かせない生理的欲求があります。その上に安全の欲求、愛情と所属の欲求、自尊の欲求が続きます。頂上は、自分の可能性を発揮する自己実現の欲求です。

マズローは、下の階層の欲求を満たしてから、上の欲求に向かうと考えました。食べ物が足りない人は、人の評価より、まず食べることに力を注ぐという見方です。

ただし、この説は主観的で、現実に起こることを説明しきれないという批判を受けています。研究で確かめられた法則ではなく、一つの理論として、利用者を理解する手がかりに使いましょう。

02感情:からだの反応と、受け止め方の組み合わせ

感情とは、私たちがふだん「気持ち」と呼んでいる、主観的な心の状態です。

心理学の教科書OpenStaxは、感情を、主観的な体験・表情などの表出・出来事の受け止め方・からだの反応の組み合わせと説明しています。これらがどの順番で起こるのかは、まだはっきりしていません。

たとえば、ヘビを見て心臓がどきどきする場面です。からだの高ぶりを、その場の状況に照らして解釈することで感情になる、と考える理論もあります。

利用者の怒りや不安の裏には、からだの不調や、状況の受け止め方が隠れていることがあります。表に出た感情だけで判断しないことが、関わりの第一歩です。

03適応:不安から心を守るはたらき(防衛機制)

フロイトは、心が不安に押しつぶされないように、無意識のうちに働く守りのしくみがあると考え、これを防衛機制と呼びました。

フロイトによれば、防衛機制はだれもが使うもので、使っている本人は気づいていません。ただし、使いすぎると問題になりうるとも考えました。

代表的なものに、抑圧・反動形成・退行・投影があります。ほかに合理化・置き換え・昇華なども挙げられます。

環境が変わって不安な利用者が、急に子どものようにふるまうことがあります。心を守る退行かもしれないと考えると、責めずに受け止めやすくなります。

防衛機制どんなはたらきか
抑圧不安を生む記憶を、意識から締め出す
反動形成本当の気持ちとは反対の考え・気持ち・行動を表す
退行年齢より幼いふるまいをする(例:弟や妹が生まれた4歳の子が、哺乳瓶で飲みたがる)
投影自分の無意識の気持ちを認めず、他人の中にその気持ちを見る
代表的な防衛機制(OpenStax『Psychology 2e』11.2をもとに作成)

あなたの場合は?

強い不安を感じたとき、あなたの心やからだには、どんな反応が出やすいですか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. マズローの欲求階層説:生理的欲求→安全→愛情と所属→自尊→自己実現。批判もある一つの理論
  2. 感情は、主観的な体験・表出・受け止め方・からだの反応が組み合わさって生じる
  3. 防衛機制:不安から心を守る無意識のはたらき。抑圧・反動形成・退行・投影など

TERMSこのレッスンの用語

欲求階層説Maslow's hierarchy of needs

マズローが1943年に示した、人の欲求を生理的欲求・安全・愛情と所属・自尊・自己実現の階層に並べた理論。主観的だという批判もある。

自己実現Self-actualization

欲求階層説の頂上にあたる、自分の持つ可能性を十分に発揮しようとする欲求。

防衛機制Defense mechanisms

不安を減らし、心を守るために、無意識のうちに働くしくみ。フロイトが唱えた。

LESSON 6-1 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. マズローの欲求階層説で、ピラミッドの頂上に置かれる欲求はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 自己実現の欲求
正解です。土台が生理的欲求で、安全、愛情と所属、自尊と続き、頂上が自己実現の欲求です。

Q2. フロイトの考えた防衛機制について、正しいものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 無意識のうちに働き、本人は使っていることに気づかない
ここがポイントです。防衛機制はだれもが使い、使っている本人は気づいていないと考えられました。

日常の場面で考える

Q3. あなたは施設の介護職です。入所したばかりのTさんが、以前は自分でできた着替えも「やって」と頼み、子どものようにふるまいます。このレッスンの考え方に合う関わり方はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 不安から心を守る退行かもしれないと考え、気持ちを受け止めながら関わり、様子をチームで共有する
惜しかった人も大丈夫です。環境の変化で不安な人が、幼いふるまいをすることがあります。決めつけず、気持ちを受け止め、チームで様子を共有します。

レッスン6-1はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第6章 こころとからだのしくみ のレッスン一覧
  1. 6-1こころのしくみ
  2. 6-2食べるしくみと飲み込むしくみ
  3. 6-3出すしくみ
  4. 6-4眠るしくみと睡眠の変化
  5. 6-5死を迎えるときのからだとこころ

講座の目次(全12章)へ

出典(3件)
  1. OpenStax『Psychology 2e』10.1 Motivation(Maslow's Hierarchy of Needs)
  2. OpenStax『Psychology 2e』10.4 Emotion
  3. OpenStax『Psychology 2e』11.2 Freud and the Psychodynamic Perspective(Defense Mechanisms)