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第7章 発達と老化の理解 ・ レッスン7-1人の一生の発達とは?老年期に向き合う課題
約4分 ・ 公開日 2026-10-06
このレッスンの問い
人の心が育ち、変わっていくのは、大人になるまでだと思いますか?それとも一生続くと思いますか?
読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。
01発達は、一生を通じて続く
心理学者エリクソンは、人の発達は子どもの時期で終わらず、一生を通じて続くと考えました。
エリクソン(1902〜1994年)は、人が他者との関わりの中で自分を形づくると考えました。この考え方を心理社会的発達理論と呼びます。フロイトは人格が子どもの時期に形づくられると考えましたが、エリクソンは人格の発達は一生続くと考えました。
理論では、人の一生を乳児期から老年期までの8つの段階に分けます。それぞれの段階に、乗り越えたい課題(葛藤)が1つずつあります。
課題をうまく乗り越えると、自分にはできるという感覚が育ちます。乗り越えられないと、自分は足りないという感覚が残りやすいとされます。
02老年期の課題は「統合 対 絶望」
65歳から人生の終わりまでの老年期の課題は「統合 対 絶望」で、自分の人生を振り返り、その意味を見いだすことです。
老年期の人は、これまでの人生を振り返ります。自分の歩みに誇りを持てる人は、後悔の少ない「統合」の感覚を持てます。
一方、うまくいかなかったと感じる人は、「ああすればよかった」と考え続けます。人生が無駄だったと感じ、絶望に傾くことがあります。
介護の場面では、利用者が昔の仕事や家族の話をすることがよくあります。その話に耳を傾けることは、本人が人生を意味づける手助けになります。
03高齢者は65歳以上。日本の高齢化率は29.4%
高齢者虐待防止法は、高齢者を65歳以上の者と定めています。令和8年版高齢社会白書によると、令和7年10月1日現在の高齢化率は29.4%です。
高齢者虐待防止法の第2条は、この法律でいう高齢者を65歳以上の者と定めています。同じ白書によると、令和7年10月1日現在の65歳以上人口は3,622万人です。
このうち75歳以上の人口は2,127万人で、総人口の17.3%にあたります。65〜74歳の人口を上回っています。
白書は、日本老年学会などが75歳以上を高齢者の新たな定義とする提案をしたことも紹介しています。年齢だけで人をひとくくりにしない見方が広がっています。
| 段階 | 年齢の目安 | 課題(葛藤) |
|---|---|---|
| 1 | 0〜1歳 | 信頼 対 不信 |
| 2 | 1〜3歳 | 自律性 対 恥・疑惑 |
| 3 | 3〜6歳 | 自発性 対 罪悪感 |
| 4 | 7〜11歳 | 勤勉性 対 劣等感 |
| 5 | 12〜18歳 | アイデンティティ 対 混乱 |
| 6 | 19〜29歳 | 親密性 対 孤立 |
| 7 | 30〜64歳 | 生殖性(社会や家族への貢献) 対 停滞 |
| 8 | 65歳〜 | 統合 対 絶望 |
あなたの場合は?
あなたの身近な高齢の人は、昔のどんな話をよくしますか?その話には、本人にとってどんな意味がありそうでしょう?
答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。
覚えるのはこの3つ
- エリクソンは、人の発達は一生続き、8つの段階それぞれに課題があると考えた
- 老年期(65歳〜)の課題は「統合 対 絶望」。人生を振り返り、意味を見いだす
- 高齢者虐待防止法では高齢者は65歳以上。高齢化率は29.4%(令和7年10月1日現在)
TERMSこのレッスンの用語
エリクソンが唱えた、人の発達は他者との関わりの中で一生を通じて続き、8つの段階それぞれに課題があるとする理論。
エリクソンの理論で、65歳からの老年期の課題。人生を振り返り、満足を感じられるか、失敗と感じるかの葛藤。
総人口に占める65歳以上人口の割合。令和7年10月1日現在で29.4%(令和8年版高齢社会白書)。
LESSON 7-1 の確認
確認問題(全3問)
本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。
Q1. エリクソンの心理社会的発達理論の考え方として、正しいものはどれでしょう?
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正解: 2. 発達は一生を通じて続き、8つの段階がある
正解は「発達は一生を通じて続き、8つの段階がある」です。エリクソンは、乳児期から老年期までの8段階それぞれに課題があると考えました。
Q2. 高齢者虐待防止法の第2条で、高齢者とされるのは何歳以上の者でしょう?
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正解: 2. 65歳以上
ここがポイントです。第2条は、高齢者を65歳以上の者と定めています。75歳以上を新たな定義とする提案は、学会によるものです。
Q3. あなたは施設の介護職です。80歳のKさんが「若いころは苦労ばかりだった」と昔の話を始めました。老年期の課題をふまえた関わり方として、適切なものはどれでしょう?
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正解: 3. 話に耳を傾け、本人がどう感じているかを受けとめる
老年期の課題は、人生を振り返って意味を見いだすことです。昔の話を受けとめて聴くことは、本人が人生を意味づける手助けになります。