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第2章 人間の尊厳と自立、介護の基本 ・ レッスン2-5介護の事故と感染をどう防ぐ?リスクマネジメントの基本
約5分 ・ 公開日 2026-10-06
このレッスンの問い
利用者が転びそうになったけれど、なんとか支えて無事だった。このできごとは、報告したほうがいいと思いますか?
読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。
前のレッスンの復習(1問)
本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。
Q1. 前のレッスンの復習です。身体拘束の3要件のうち「身体拘束その他の行動制限を行う以外に代わりの方法がないこと」を指すのはどれでしょう?
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正解: 2. 非代替性
正解は非代替性です。切迫性は生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと、一時性は行動制限が一時的なものであることでした。
01事故を防ぐしくみ:運営基準が求める4つの措置
介護老人福祉施設の運営基準は、事故の発生と再発を防ぐため、指針の整備、報告と改善の体制、委員会と研修、担当者の配置を義務づけています(第35条)。
報告の対象は、事故が起きた場合だけではありません。事故に至る危険性がある事態が生じた場合も報告し、分析を通じた改善策を職員に周知します。
事故が起きたときは、速やかに市町村や家族に連絡し、必要な措置をとります。事故の状況と、そのときにとった処置は記録しなければなりません。賠償すべき事故なら、損害賠償を速やかに行います。
02ヒヤリ・ハットを生かす:責めるためではなく、良くするため
国のガイドラインは、重大事故が起きる前の「ヒヤリ・ハット」を活用することが、リスクマネジメントの向上につながるとしています。
ヒヤリ・ハットは、事故には至らなかったものの、ヒヤリとしたりハッとしたりしたできごとです。ガイドラインは、1件の重大事故の背後に数十件の小さな事故、数百件のヒヤリ・ハットがあるという「ハインリッヒの法則」を紹介しています。
ガイドラインは、報告の目的は職員の責任追及ではなく、利用者へのケアの改善だとしています。そのため、報告を活性化する工夫が重要だとしています。「少し気になる」程度のできごとも、事故を未然に防ぐ貴重な情報になります。
03感染対策:すべての人に標準予防策を
標準予防策とは、感染症の有無に関わらず、すべての人の血液、体液、汗を除く分泌物、排泄物などを、感染の可能性があるものとみなして対応する方法です。
厚生労働省の手引きは、感染が成立する要因として、病原体、感染経路、感受性宿主の3つを挙げています。なかでも、感染経路の遮断が最も重要な取り組みだとしています。
手引きは、体液、粘膜、正常でない皮膚に触れるときは、必ず手袋を着用することを挙げています。そのうえで、こまめな手洗いが非常に大切だとしています。
施設には、感染症と食中毒の予防のための委員会をおおむね3か月に1回以上開き、指針を整え、研修と訓練を定期的に行うことが義務づけられています(第27条)。
| 要因 | 対策の柱 | 例 |
|---|---|---|
| 病原体(感染源) | 病原体の排除 | 嘔吐物や排泄物、血液などに素手で触らない |
| 感染経路 | 感染経路の遮断 | 病原体を持ち込まない・持ち出さない・拡げない |
| 感受性宿主 | 宿主の抵抗力の向上 | 十分な栄養と睡眠、予防接種 |
あなたの場合は?
あなたの身の回りで、最近「ヒヤッとしたけれど何もなかった」ことはありますか。それを誰かに話しましたか?
答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。
覚えるのはこの3つ
- 運営基準は、事故防止の指針・報告と改善の体制・委員会と研修・担当者を義務づけている(第35条)
- ヒヤリ・ハットの報告の目的は、職員の責任追及ではなくケアの改善
- 標準予防策:すべての人の血液・体液・排泄物などを感染の可能性があるとみなし、手袋と手洗いで対応する
TERMSこのレッスンの用語
事故を未然に防ぐ予防策を講じ、事故が起きたときは原因を明らかにして迅速かつ適切に対応する取り組み。
事故には至らなかったものの、ヒヤリとしたりハッとしたりしたできごと。
感染症の有無に関わらず、すべての人の血液、体液、汗を除く分泌物、排泄物、損傷した皮膚、粘膜などを、感染の可能性があるものとみなして対応する方法。
LESSON 2-5 の確認
確認問題(全3問)
本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。
Q1. 介護老人福祉施設の運営基準(第35条)が、事故が起きたときに求めていることとして正しいものはどれでしょう?
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正解: 2. 速やかに市町村や家族に連絡し、状況と処置を記録する
正解です。第35条は、速やかな市町村・家族への連絡と必要な措置、事故の状況と処置の記録を求めています。
Q2. 標準予防策の考え方として、正しいものはどれでしょう?
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正解: 2. 感染症の有無に関わらず、すべての人の体液などを感染の可能性があるとみなす
ここがポイントです。標準予防策は、感染症の有無に関わらず、すべての人に対して行います。手引きは、体液などから汗を除いています。
Q3. あなたは施設の介護職です。利用者が車いすからずり落ちそうになりましたが、すぐに支えて無事でした。ガイドラインに沿った行動はどれでしょう?
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正解: 3. ヒヤリ・ハットとして報告し、原因と防ぐ方法をチームで考える
惜しかった人も大丈夫です。事故に至らなかったできごとも、未然防止の貴重な情報になります。報告の目的は責任追及ではなく、ケアの改善です。