HOME / ゼロから学ぶ介護福祉士 / 講座 / 第2章 人間の尊厳と自立、介護の基本 / 身体拘束をしない介護
第2章 人間の尊厳と自立、介護の基本 ・ レッスン2-4身体拘束をしない介護とは?緊急やむを得ない場合の3要件
約5分 ・ 公開日 2026-10-06
このレッスンの問い
ベッドから落ちないよう、ベッドの周りを柵で囲むこと。これは身体拘束にあたると思いますか?
読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。
前のレッスンの復習(1問)
本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。
Q1. 前のレッスンの復習です。日本介護福祉士会の倫理綱領の最初の項目はどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 利用者本位、自立支援
正解は「利用者本位、自立支援」です。自らの価値観に偏らず、利用者の自己決定を最大限尊重することでした。
01身体拘束とは:本人の行動の自由を制限すること
厚生労働省の手引きは、身体拘束を「本人の行動の自由を制限すること」と説明し、対象となる具体的な行為の例を11項目示しています。
例には、体や手足をひもで縛ること、自分で降りられないようベッドを柵(サイドレール)で囲むことがあります。手指の動きを制限するミトン型の手袋、Y字型拘束帯や腰ベルト、介護衣(つなぎ服)も含まれます。
行動を落ち着かせるために向精神薬を過剰に使うこと、自分で開けられない部屋に隔離することも挙げられています。11項目はあくまでも例示で、ほかにも身体拘束にあたる行為があります。
この手引き(令和6年3月)は、平成13年3月の「身体拘束ゼロへの手引き」をもとに作られました。
02原則禁止と、3つの要件
介護老人福祉施設の運営基準は、生命や身体を守るため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないと定めています(第11条第4項)。
手引きは、緊急やむを得ない場合を、切迫性・非代替性・一時性の3つの要件をすべて満たす場合としています。1つでも欠ければ認められません。
要件の確認は、一人の職員が判断するものではありません。本人・家族・関係者で検討・確認し、記録しておくことが求められます。
手引きは、3つの要件を満たすケースは介護現場では極めて少ないとしています。手続きは、本人の尊厳を守るためのものです。
03記録と、施設全体での取り組み
やむを得ず身体的拘束等を行う場合は、その態様と時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録しなければなりません(第11条第5項)。
施設には、身体的拘束等をなくしていくための措置も義務づけられています。対策を検討する委員会を3か月に1回以上開き、指針を整え、研修を定期的に行います(第11条第6項)。
手引きによると、令和6年度の介護報酬改定で、訪問系や通所系などのサービスにも、身体的拘束等の原則禁止の規定が新設されました。施設だけでなく、すべてのサービスで考えるべきことになっています。在宅で家族が介護する場合も、家族にできる代わりの方法を提案することが大切だとされています。
| 要件 | 意味 | 確認すること(例) |
|---|---|---|
| 切迫性 | 本人または他の利用者等の生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高い | 拘束しないと、どんな危険にさらされるのか |
| 非代替性 | 身体拘束その他の行動制限を行う以外に代わりの方法がない | 拘束しない方法を、複数の職員や多職種で洗い出したか |
| 一時性 | 身体拘束その他の行動制限が一時的なものである | 必要とされる最も短い時間を想定したか |
あなたの場合は?
もしあなたが、自分の意思でほどけないベルトで椅子に固定されたら、どんな気持ちになると思いますか?
答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。
覚えるのはこの3つ
- 身体拘束とは本人の行動の自由を制限すること。11項目の例は例示で、ほかにもある
- 緊急やむを得ない場合は、切迫性・非代替性・一時性の3つをすべて満たすときだけ
- 行う場合は態様・時間・心身の状況・理由を記録。委員会は3か月に1回以上
TERMSこのレッスンの用語
身体拘束の3要件の一つ。本人または他の利用者等の生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。
身体拘束の3要件の一つ。身体拘束その他の行動制限を行う以外に代わりの方法がないこと。
身体拘束の3要件の一つ。身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること。
LESSON 2-4 の確認
確認問題(全3問)
本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。
Q1. 厚生労働省の手引きが示す、緊急やむを得ない場合の3つの要件の組み合わせとして正しいものはどれでしょう?
答えを見る
正解: 1. 切迫性・非代替性・一時性
正解は切迫性・非代替性・一時性です。3つをすべて満たすことが必要です。
Q2. 介護老人福祉施設が身体的拘束等の適正化のために開く委員会の頻度として、運営基準が定めているものはどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 3か月に1回以上
ここがポイントです。第11条第6項は、委員会を3か月に1回以上開き、結果を職員に周知するよう定めています。指針の整備と定期的な研修もあわせて求めています。
Q3. あなたは施設の介護職です。夜勤の先輩が「Hさんは夜に一人で歩いて転びそうだから、ベッドの周りを柵で全部囲もう」と言いました。手引きに沿った考え方はどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 身体拘束にあたるので、まず拘束しない方法をチームで検討する
惜しかった人も大丈夫です。自分で降りられないようベッドを柵で囲むことは、手引きの例に挙がっている身体拘束です。非代替性を考え、拘束しない方法を複数の職員や多職種で洗い出します。