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第2章 人間の尊厳と自立、介護の基本 ・ レッスン2-1

尊厳の保持と自立支援とは?介護は何のためにあるのか

約4分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

介護の目的は何だと思いますか?「身の回りのことを代わりにしてあげること」でしょうか。

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

01介護保険法第1条:尊厳を保持し、自立した日常生活を

介護保険法第1条は、介護が必要な人が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営めるよう、サービスの給付を行うと定めています。

介護保険法は、介護保険のしくみを定めた法律です。第1条には、この法律が何のためにあるのかが書かれています。

対象は、加齢による心身の変化から病気などになり、入浴・排せつ・食事などの介護が必要になった人です。その人が尊厳を保持し、能力に応じて自立した日常生活を営めるようにする。そのために、保健医療サービスと福祉サービスの給付を行うとしています。

つまり、介護は世話をすること自体が目的ではありません。介護が必要になっても一人の人として尊重され、その人らしく暮らし続けられるようにすることが目的です。

02自立支援:持っている力を生かして暮らす

介護保険法第2条第4項は、介護が必要になっても、可能な限り自宅で、その有する能力に応じ自立した日常生活を営めるよう配慮することを求めています。

条文は「その有する能力に応じ」と書いています。何でも一人でこなすことではなく、その人が持っている力を生かして暮らすことが自立です。そのように支えることを自立支援と呼びます。

たとえば、時間がかかってもボタンを自分でとめられる人がいます。急ぐからと全部を代わりにすると、その力を使う機会を奪ってしまいます。できる部分は本人に任せ、難しい部分を手伝うのが自立支援の考え方です。

介護老人福祉施設の運営基準も、入所者が能力に応じ自立した日常生活を営めるようにすることを目指すとしています(第1条の2)。あわせて、入所者の意思と人格を尊重し、常にその人の立場に立つよう求めています。

03根っこにある憲法と、介護福祉士の誠実義務

尊厳と自立の考え方の土台には、個人の尊重を定めた日本国憲法第13条と、生存権を定めた第25条があります。

憲法第13条は、すべて国民は個人として尊重されると定めています。第25条は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を定めています。介護が必要になっても、この権利はなくなりません。

介護福祉士にも、担当する人が個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営めるよう、誠実に業務を行う義務があります(社会福祉士及び介護福祉士法第44条の2)。この誠実義務は、第1章でくわしく学びます。

条文定めていること
日本国憲法第13条すべて国民は、個人として尊重される
日本国憲法第25条健康で文化的な最低限度の生活を営む権利
介護保険法第1条尊厳を保持し、能力に応じ自立した日常生活を営めるようにする
介護保険法第2条第4項可能な限り自宅で、能力に応じ自立した日常生活を営めるよう配慮する
社会福祉士及び介護福祉士法第44条の2尊厳の保持と自立のため、常にその人の立場に立って誠実に業務を行う
尊厳の保持と自立支援を定める主な条文(e-Gov法令検索の条文をもとに作成)

あなたの場合は?

あなたが手助けを受ける立場になったら、どんなことは自分でやりたいと思いますか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 介護保険法の目的は、介護が必要な人が尊厳を保持し、能力に応じ自立した日常生活を営めるようにすること(第1条)
  2. 自立とは何でも一人ですることではなく、持っている力を生かして暮らすこと。できる部分は本人に任せる
  3. 土台には憲法第13条(個人の尊重)と第25条(生存権)がある

TERMSこのレッスンの用語

尊厳の保持Preservation of dignity

介護が必要になってもその人を一人の人として尊重すること。介護保険法第1条が目的に掲げている。

自立支援Support for independence

介護が必要な人が、その有する能力に応じて自立した日常生活を営めるように支えること(介護保険法第1条・第2条第4項)。

LESSON 2-1 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 介護保険法第1条が目的として掲げているものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 介護が必要な人が尊厳を保持し、能力に応じ自立した日常生活を営めるようにすること
正解です。第1条は、尊厳の保持と、能力に応じた自立した日常生活を目的に掲げています。代わりにすることや施設への入所そのものが目的ではありません。

Q2. 介護保険法第2条第4項が、保険給付の内容と水準について配慮を求めていることはどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 可能な限り自宅で、能力に応じ自立した日常生活を営めるようにすること
ここがポイントです。第2条第4項は、介護が必要になっても、可能な限り自宅で、能力に応じ自立した日常生活を営めるよう配慮することを求めています。

日常の場面で考える

Q3. あなたは施設の介護職です。利用者のEさんは、時間はかかりますが、自分でスプーンを使って食事ができます。食事の時間が終わりに近づいてきました。自立支援の考え方に合う対応はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. Eさんが自分で食べるのを見守り、難しくなった部分だけを手伝う
惜しかった人も大丈夫です。自立支援は、できる部分は本人に任せ、難しい部分を手伝うことです。全部を代わりにすると力を使う機会を奪い、放っておくのは支援になりません。

レッスン2-1はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第2章 人間の尊厳と自立、介護の基本 のレッスン一覧
  1. 2-1尊厳の保持と自立支援
  2. 2-2ICF(国際生活機能分類)
  3. 2-3介護福祉士の倫理とチームケア
  4. 2-4身体拘束をしない介護
  5. 2-5事故の防止と感染対策

講座の目次(全12章)へ

出典(4件)
  1. e-Gov法令検索「介護保険法」(第1条・第2条)
  2. e-Gov法令検索「日本国憲法」(第13条・第25条)
  3. e-Gov法令検索「社会福祉士及び介護福祉士法」(第44条の2)
  4. e-Gov法令検索「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(第1条の2)