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第2章 人間の尊厳と自立、介護の基本 ・ レッスン2-2

ICF(国際生活機能分類)とは?生活をまるごととらえる見方

約5分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

右手にまひがある人の「困りごと」は、まひそのものだけでしょうか。ほかにどんなことが関係していると思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン2-1から

Q1. 前のレッスンの復習です。介護保険法第1条が掲げる目的として、正しいものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 介護が必要な人が尊厳を保持し、能力に応じ自立した日常生活を営めるようにすること
正解は、尊厳を保持し、能力に応じ自立した日常生活を営めるようにすることです。自立とは、持っている力を生かして暮らすことでした。

01ICFとは:できることにも目を向ける分類

ICF(国際生活機能分類)は、人の生活機能と障害の分類として、2001年5月の第54回世界保健機関(WHO)総会で採択されました。

それまでは、1980年にWHOが発表した国際障害分類(ICIDH)が使われていました。ICIDHは、障害というマイナス面を分類する考え方が中心でした。

ICFは、生活機能というプラス面からみるように視点を転換しました。さらに、環境因子という観点を加えたことが特徴です。厚生労働省は日本語版を作り、平成14年(2002年)8月にホームページで公表しました。

02生活機能の3つと、背景因子の2つ

ICFは、生活機能を「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つでとらえ、それに「環境因子」「個人因子」の背景因子が影響すると考えます。

心身機能は体の生理的な機能(心理的機能を含む)、身体構造は器官や手足などの体の部分です。活動は、課題や行為を個人がおこなうことです。参加は、生活・人生の場面に関わることです。

環境因子は、物的な環境や社会的な環境、人々の態度による環境です。個人因子は、性別、年齢、ライフスタイル、習慣などです。個人因子はICFの分類には含まれていませんが、影響を示すために図には描かれています。

これらは一方向ではなく、互いに影響し合うとされます。生活機能と障害は、健康状態と背景因子との相互作用で生じると考えるのです。

03介護で使うと:困りごとの原因を広く探せる

ICFを使うと、本人・家族・保健医療福祉の職員が、状態について共通の理解を持ち、支援の計画や記録に生かせます。

たとえば、脳の病気で右手にまひがある人がいます(心身機能)。箸で食べにくく(活動)、友人との食事会にも行かなくなりました(参加)。

ここで、持ちやすい食器(環境因子)を使えば、自分で食べられるかもしれません。人と話すのが好きな人柄(個人因子)を生かせば、食事会に戻るきっかけも作れます。まひが治らなくても、生活は変えられるのです。

障害を社会の側の壁からとらえる考え方は、第9章(障害の理解)でくわしく学びます。

構成要素意味例
心身機能・身体構造体の生理的な機能と、体の部分右手にまひがある
活動課題や行為を個人がおこなうこと箸で食事がしにくい
参加生活・人生の場面に関わること友人との食事会に行かなくなった
環境因子物的・社会的な環境、人々の態度持ちやすい食器、誘ってくれる友人
個人因子性別・年齢・ライフスタイル・習慣など人と話すのが好き
ICFの構成要素と、右手にまひがある人の例(厚生労働省「国際生活機能分類―国際障害分類改訂版―」(日本語版)をもとに作成)

あなたの場合は?

あなたが最近「できなかったこと」を1つ思い浮かべてください。それは体のせいだけでしたか。道具や周りの人で変わりそうなことはありますか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. ICFは2001年5月のWHO総会で採択された、生活機能と障害の分類
  2. 生活機能は「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つ。背景因子は「環境因子」と「個人因子」
  3. それぞれが互いに影響し合う。環境を変えれば、生活が変わることがある

TERMSこのレッスンの用語

ICF(国際生活機能分類)International Classification of Functioning, Disability and Health

人の生活機能と障害の分類。2001年5月のWHO総会で採択された。生活機能というプラス面からみる視点と、環境因子の観点が特徴。

生活機能Functioning

ICFで、心身機能・身体構造、活動、参加のすべてを含む言葉。

背景因子Contextual factors

ICFで、生活機能と障害に影響する環境因子と個人因子のこと。

LESSON 2-2 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. ICFがWHO総会で採択されたのはいつでしょう?

答えを見る

正解: 2. 2001年
正解は2001年(5月の第54回総会)です。1980年は、その前の国際障害分類(ICIDH)が発表された年です。

Q2. ICFで「生活・人生の場面に関わること」を指す構成要素はどれでしょう?

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正解: 3. 参加
ここがポイントです。参加は生活・人生の場面への関わりです。活動は課題や行為を個人がおこなうこと、心身機能は体の生理的な機能です。

日常の場面で考える

Q3. あなたは訪問介護の職員です。利用者のFさんは足の筋力が落ち、自宅の玄関の段差を越えられず、好きだった近所の散歩に出なくなりました。ICFの考え方で、環境因子に働きかける支援はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 段差に手すりやスロープを付けることを、チームで検討する
惜しかった人も大丈夫です。段差や手すりは物的な環境で、環境因子にあたります。環境が変われば、心身機能が同じでも参加が変わることがあります。

レッスン2-2はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第2章 人間の尊厳と自立、介護の基本 のレッスン一覧
  1. 2-1尊厳の保持と自立支援
  2. 2-2ICF(国際生活機能分類)
  3. 2-3介護福祉士の倫理とチームケア
  4. 2-4身体拘束をしない介護
  5. 2-5事故の防止と感染対策

講座の目次(全12章)へ

出典(2件)
  1. 厚生労働省「「国際生活機能分類−国際障害分類改訂版−」(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」(平成14年8月5日)
  2. World Health Organization「International Classification of Functioning, Disability and Health (ICF)」