HOME / ゼロから学ぶ介護福祉士 / 講座 / 第8章 認知症の理解 / 認知症とは
第8章 認知症の理解 ・ レッスン8-1認知症とは?加齢によるもの忘れとの違いと認知症基本法
約4分 ・ 公開日 2026-10-06
このレッスンの問い
人の名前がすぐに出てこないのは、認知症の始まりだと思いますか?
読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。
介護のことで困ったときの相談先
この講座は学習用で、個別のケースの判断はできません。家族の介護に困ったときや、高齢者への虐待かもしれないと思ったときは、次の公的な窓口に相談できます。確信がなくても相談できます。
- 地域包括支援センター(高齢者の暮らしと介護の総合相談窓口。お住まいの市区町村のホームページや役所の介護保険担当で、担当のセンターを確認できます)
- 市区町村の高齢者虐待の通報・相談窓口(高齢者虐待防止法にもとづき、市町村が通報や相談を受け付けます)
命の危険があるときは110番や119番に連絡してください。出典: e-Gov法令検索「介護保険法」第115条の46、e-Gov法令検索「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」第7条・第21条
01認知症は、病気によって生活に支障が出ている状態
認知症とは、アルツハイマー病や脳血管疾患などの病気によって認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態です。
認知機能とは、覚える・考える・判断するといった頭の働きのことです。認知症基本法の第2条は、認知症をこのように定めています。年をとったことそのものではなく、病気が原因です。
厚生労働省の資料では、2022年の高齢者の認知症の人は443.2万人と推計されています。高齢者の12.3%にあたります。九州大学の研究をもとにした推計です。
同じ推計で、軽度認知障害(MCI)の高齢者は558.5万人でした。MCIは、もの忘れなどはあっても日常生活は自立しており、認知症とは診断されない状態です。
02加齢によるもの忘れとは、忘れ方が違う
加齢によるもの忘れは体験の一部を忘れるもので、生活に支障はありません。病的なもの忘れでは、体験そのものが記憶に残りません。
人や物の名前がとっさに出てこない、置き忘れをする。こうした年齢相応のもの忘れは、あとで思い出せることが多く、忘れた自覚もはっきりあります。
病的なもの忘れでは、自分がした経験そのものが残りません。日付や今いる場所がわからなくなり、買い物や料理など段取りの必要なことが難しくなります。
たとえば、昼食の献立が思い出せないのは、誰にでもあることです。昼食を食べたこと自体が記憶にないなら、体験そのものを忘れている状態です。気になる変化があれば、早めの受診が勧められています。
03認知症基本法は、尊厳と希望を守るための法律
2024(令和6)年1月1日に施行された認知症基本法は、認知症の人が尊厳を保ちながら希望を持って暮らせることを目的にしています。
正式な名前は「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」です。めざすのは、認知症の人を含む一人一人が個性と能力を発揮し、支え合う共生社会です(第1条)。
第3条は7つの基本理念を掲げています。1つ目は、全ての認知症の人が、自らの意思によって日常生活と社会生活を営めるようにすることです。
ほかに、正しい知識と理解を広めること、生活の障壁を取り除くこと、家族等への支援なども理念に含まれています。
| 加齢によるもの忘れ | 病的なもの忘れ | |
|---|---|---|
| 忘れる範囲 | 名前など体験の一部 | 体験したことそのもの |
| 思い出せるか | あとで思い出せることが多い | 記憶に残らない |
| 忘れた自覚 | はっきりある | あっても表面的 |
| 生活への支障 | ない | ある(日付や場所がわからない、段取りが難しい) |
あなたの場合は?
最近あなたが「ど忘れ」したことを1つ思い出してください。それは体験の一部でしたか、それとも体験そのものでしたか?
答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。
覚えるのはこの3つ
- 認知症は、病気によって認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態(認知症基本法第2条)
- 加齢によるもの忘れは体験の一部を忘れ、自覚がある。病的なもの忘れは体験そのものが残らない
- 認知症基本法は2024年1月1日施行。目的は認知症の人の尊厳と希望、そして共生社会の実現
TERMSこのレッスンの用語
もの忘れなどの軽い認知機能の障害はあるが、日常生活は自立しているため、認知症とは診断されない状態。
年齢相応に起こるもの忘れ。人の名前が出てこないなど体験の一部を忘れるが、自覚があり、生活に支障はない。
LESSON 8-1 の確認
確認問題(全3問)
本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。
Q1. 認知症基本法(共生社会の実現を推進するための認知症基本法)が施行されたのはいつでしょう?
答えを見る
正解: 2. 2024(令和6)年1月1日
正解は2024(令和6)年1月1日です。認知症の人が尊厳を保ちながら希望を持って暮らせることを目的に、共生社会の実現をめざす法律です。
Q2. 加齢によるもの忘れの特徴として、正しいものはどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 人の名前がとっさに出ないが、あとで思い出せることが多い
ここがポイントです。加齢によるもの忘れは体験の一部を忘れるもので、自覚があり、生活に支障はありません。体験そのものを忘れる、日付や場所がわからなくなるのは、病的なもの忘れの特徴です。
Q3. あなたは訪問介護員です。Tさん(80代)は「さっきの電話、誰からだったかな」と言い、少したって「そうだ、娘だった」と思い出しました。考え方として適切なものはどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 名前がとっさに出ないのは年齢相応のもの忘れでもよくある。ふだんとの違いがないか見守る
あとで思い出せる、電話があったこと自体は覚えている、というのは加齢によるもの忘れでもよく見られます。介護職は診断せず、ふだんの様子との違いに気づいたら記録してチームに伝えます。
レッスン8-1はここまでです
迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。