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第7章 発達と老化の理解 ・ レッスン7-4

フレイルとは?健康と要介護の間で、元に戻れる段階

約5分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

高齢の人が一度弱ってしまったら、もう元の元気な状態には戻れないと思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン7-3から

Q1. 高齢者の病気の特徴として、前のレッスンで学んだ内容に合うものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 典型的な症状が出ないことが多く、肺炎でも微熱程度のことがある
正解です。高齢者の病気は典型的な症状が出にくく、急に重くなりやすいのが特徴です。だから「いつもと違う」に気づいて伝えることが大切です。

01フレイルは、健康と要介護の間の段階

フレイルとは、高齢期に予備力が下がってストレスに弱くなり、要介護状態などに陥りやすくなった状態です。

日本老年医学会は、2014(平成26)年5月のステートメントで、英語のFrailtyの日本語訳として「フレイル」を使うと提唱しました。それまでの「虚弱」では、老い衰えて戻らない印象を与えてきたためです。

脳卒中のように、健康な状態から急に要介護になる場合もあります。しかし75歳以上の人の多くは、フレイルという中間の段階を経て、徐々に要介護状態になると考えられています。

2025年の国民生活基礎調査で、介護が必要になった原因の2番目は「高齢による衰弱」でした。衰弱の手前で気づくことが大切です。

02からだ・こころ・社会の3つの面があり、元に戻れる

フレイルには、からだの衰えだけでなく、こころと社会の問題も含まれます。適切な関わりで、健康な状態に戻れる可能性があります。

ステートメントは、Frailtyには適切な介入で再び健常な状態に戻る可逆性が含まれるとしています。早めに見つけて関われば、生活機能を保ち、高めることが期待できます。

からだの面で中心となるのが、サルコペニアです。加齢による筋肉量の減少と筋力の低下のことで、歩く・立ち上がるなどの動作に影響し、転倒しやすくなります。

健康長寿ネットによると、65歳以上の15%程度がサルコペニアに当たると考えられています。ステートメントは、食事や運動によるフレイル予防の大切さを、すべての専門職が知るべきだとしています。

03市町村が行う、介護予防・日常生活支援総合事業

介護保険法第115条の45は、市町村が地域支援事業として、介護予防・日常生活支援総合事業を行うと定めています。

目的は、要介護状態になることの予防や悪化の防止と、地域での自立した生活の支援です。要支援者などには、自宅での日常生活上の支援や、施設での機能訓練などを行います。

65歳以上の第1号被保険者全体に向けた、介護予防の事業も含まれます。同じ第115条の45には、第3章で学んだ包括的支援事業も定められています。

介護保険法第4条は、国民が自ら要介護状態を予防するよう努めると定めています。介護予防は、本人の力を生かす自立支援の考え方とつながっています。

面例
身体的筋力が低下して動作がすばやくできなくなり、転倒しやすくなる
精神・心理的認知機能障害やうつ
社会的独居や経済的困窮
フレイルに含まれる3つの面(日本老年医学会「フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント」2014年をもとに作成)

あなたの場合は?

あなたの身近な高齢の人が、最近外出や人と会う機会を減らしていないか、思い浮かべてみましょう。

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. フレイル:高齢期に予備力が下がり、要介護などに陥りやすい状態(日本老年医学会、2014年)
  2. フレイルには身体・精神心理・社会の3つの面があり、適切な関わりで元に戻れる可能性がある
  3. 介護予防・日常生活支援総合事業は、市町村が行う地域支援事業(介護保険法第115条の45)

TERMSこのレッスンの用語

フレイルFrailty

高齢期に予備力が低下してストレスに弱くなり、要介護状態などに陥りやすい状態。身体・精神心理・社会の面を含み、元に戻れる可能性がある。

サルコペニアSarcopenia

加齢による筋肉量の減少と筋力の低下。歩く・立ち上がるなどの動作に影響し、転倒しやすくなる。

介護予防・日常生活支援総合事業Comprehensive project for long-term care prevention and daily life support

要介護状態等の予防や悪化の防止と地域での自立した生活の支援のため、市町村が地域支援事業として行う事業(介護保険法第115条の45)。

LESSON 7-4 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 日本老年医学会が2014年のステートメントで、Frailtyの日本語訳として使うと提唱した言葉はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. フレイル
正解は「フレイル」です。「虚弱」などの訳語は、老い衰えて戻らない印象を与えてきたため、「フレイル」を使う合意が得られました。

Q2. 介護予防・日常生活支援総合事業について、正しいものはどれでしょう?

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正解: 2. 市町村が地域支援事業として行う(介護保険法第115条の45)
ここがポイントです。第115条の45は、市町村が地域支援事業として、介護予防・日常生活支援総合事業を行うと定めています。

日常の場面で考える

Q3. あなたはデイサービスの介護職です。一人暮らしのNさんは、最近歩くのが遅くなり、人と話すのもおっくうだと言います。フレイルの考え方に合う受けとめ方はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. からだ・こころ・社会の面から様子を記録し、チームで共有する
フレイルには身体・精神心理・社会の3つの面があり、適切な関わりで元に戻れる可能性があります。介護職は診断せず、気づいたことをチームで共有します。

レッスン7-4はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第7章 発達と老化の理解 のレッスン一覧
  1. 7-1一生の発達と老年期
  2. 7-2老化によるからだとこころの変化
  3. 7-3高齢者に多い病気とサイン
  4. 7-4フレイルと介護予防

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出典(4件)
  1. 日本老年医学会「フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント」(平成26年5月。フレイルの定義・3つの側面・可逆性・訳語の変更・食事と運動による予防)
  2. e-Gov法令検索「介護保険法」(第4条 国民の努力、第115条の45 地域支援事業・介護予防・日常生活支援総合事業)
  3. 健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)「サルコペニアとは」(2023年7月14日更新。定義、日常動作と転倒への影響、65歳以上の15%程度)
  4. 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」統計表 第12表(介護が必要となった主な原因)