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第5章 生活支援技術 ・ レッスン5-4

排泄の介助とは?自尊心を守り、トイレでの自立を支える

約5分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

トイレに行ける人に、夜は介助が大変だからとおむつをあてる。これは本人にとってどんなことだと思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン5-3から

Q1. 前のレッスンの復習です。消費者庁が呼びかけている、入浴前のポイントはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 前もって脱衣所や浴室を暖め、温度差を減らす
正解です。温度差による急激な血圧の変動を防ぐため、前もって脱衣所や浴室を暖めておきます。

01目指すのは、排せつの自立

介護老人福祉施設の運営基準は、入所者の心身の状況に応じて、適切な方法で排せつの自立について必要な援助を行わなければならないと定めています(第13条第3項)。

おむつについては、使用せざるを得ない入所者のおむつを適切に取り替えなければならないとしています(第13条第4項)。ユニット型の施設では、排せつの自立を図りつつおむつを取り替えるとされています(第43条第5項)。

おむつは、使わざるを得ない場合のものという位置づけです。第2章で学んだ自立支援の考え方は、排泄の場面でも同じです。

02自尊心を守る:恥をかかせない、人前にさらさない

厚生労働省老健局の資料は、排泄交換や片づけをしやすいという目的で、本人の尊厳を無視してトイレに行けるのにおむつをあてることを、心理的虐待の例に挙げています。

同じ資料は、排泄の失敗などを嘲笑したり人前で話したりして、高齢者に恥をかかせることも心理的虐待の例としています。人前で排泄行為をさせたり、おむつ交換をしたりすることは、性的虐待の例です。排泄や着替えの介助がしやすいという目的で、下半身を裸にしたり下着のままで放置したりすることも、性的虐待の例です。

これらは、家族などの養護者による虐待の具体例として示されたものです。資料は、性的虐待には性的羞恥心を催すあらゆる形態の行為が含まれるとしています。

第3章で学んだ高齢者虐待の5つの種類のうち、排泄の場面は複数の種類に関わります。介助のしやすさを、本人の尊厳より優先しないことが大切です。

03トイレで排泄するための、用具と環境

テクノエイド協会の研修教材は、ポータブルトイレで転倒しそうになった事例の原因を、本人の動作の能力とトイレの形や機能が合っていなかったことだとしています。

この事例では、ひじ掛けのないポータブルトイレが動いて転倒しそうになり、ひじ掛け付きに変更しました。ベッドから立ち上がるときにポータブルトイレを支えにする例では、ベッド用グリップや床置き形手すりなどを使うよう勧めています。

教材は、本人がどの程度の操作を行うのかをあらかじめ想定し、行わない操作への対処を決めておくことも大切だとしています。中蓋を取ろうとして転倒しそうになった事例では、本人の歩行能力から、取りに行くこと自体が危険だったと考えられるとしています。

区分具体的な例
心理的虐待排泄の失敗などを嘲笑したり、人前で話したりして恥をかかせる
心理的虐待介助しやすいという目的で、本人の尊厳を無視してトイレに行けるのにおむつをあてる
性的虐待排泄の失敗に対して懲罰的に下半身を裸にして放置する
性的虐待人前で排泄行為をさせる、おむつ交換をする
排泄に関わる虐待の例(厚生労働省老健局「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について」令和7年3月からの抜粋をもとに作成。養護者による虐待の例)

あなたの場合は?

もしあなたがトイレの介助を受ける立場になったら、介助者にどんなことに気をつけてほしいですか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 運営基準:心身の状況に応じて排せつの自立を援助する。おむつは使用せざるを得ない場合に適切に取り替える
  2. トイレに行けるのに介助の都合でおむつをあてる、失敗を人前で話すことは、虐待の例に挙げられている
  3. ポータブルトイレなどの用具は、本人の動作の能力に合ったものを選ぶ

TERMSこのレッスンの用語

心理的虐待Psychological abuse

脅しや侮辱などの言語や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等によって、精神的苦痛を与えること。高齢者虐待の種類の一つ。

ポータブルトイレPortable toilet

ベッドのそばなどに置いて使う、移動できる腰掛け式のトイレ。ひじ掛けの有無など形や機能が異なり、本人の動作の能力に合わせて選ぶ。

LESSON 5-4 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 介護老人福祉施設の運営基準(第13条第3項)が、排せつについて施設に求めていることはどれでしょう?

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正解: 1. 心身の状況に応じて、適切な方法で排せつの自立について必要な援助を行う
正解です。おむつは、使用せざるを得ない入所者について、適切に取り替えるものとされています。

Q2. 厚生労働省老健局の資料で、心理的虐待の例として挙げられているものはどれでしょう?

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正解: 2. 排泄の失敗などを嘲笑したり、人前で話したりして恥をかかせる
ここがポイントです。排泄の失敗などで恥をかかせることは、心理的虐待の例として示されています。

日常の場面で考える

Q3. あなたは施設の介護職です。夜勤の同僚が「Lさんは手引き歩行でトイレに行けるけれど、夜は人手が足りないから全員おむつにしよう」と提案しました。適切な考え方はどれでしょう?

答えを見る

正解: 3. トイレに行ける人に介助の都合でおむつをあてるのは尊厳を損なう。排せつの自立を支える方法をチームで考える
惜しかった人も大丈夫です。介助の都合で、トイレに行けるのにおむつをあてることは、虐待の例に挙げられています。人手の課題も含めて、チームで方法を考えます。

レッスン5-4はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第5章 生活支援技術 のレッスン一覧
  1. 5-1移動と移乗の介助
  2. 5-2食事の介助
  3. 5-3入浴と清潔の介助
  4. 5-4排泄の介助
  5. 5-5着替えと身じたく
  6. 5-6人生の最終段階の介護

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出典(5件)
  1. e-Gov法令検索「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(第13条・第43条)
  2. 警察庁「高齢者虐待事案への対応に係る留意事項について(通達)」別添(厚生労働省老健局「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について」令和7年3月からの抜粋、厚生労働省ウェブサイト掲載)
  3. 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具ヒヤリハット 研修教材」Case343 ポータブルトイレが動き、転倒しそうになる
  4. 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具ヒヤリハット 研修教材」Case89 ポータブルトイレを支えにベッドから立ち上がろうとして、転倒しそうになる
  5. 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具ヒヤリハット 研修教材」Case87 ポータブルトイレの中蓋を取ろうとして、転倒しそうになる