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第5章 生活支援技術 ・ レッスン5-2

食事の介助とは?誤嚥を防ぐ姿勢と食べやすい形

約5分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

車いすでお尻が前にずれ、背中が丸まった姿勢のまま食べる。これは、飲み込みにどんな影響があると思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン5-1から

Q1. 前のレッスンの復習です。腰痛予防対策指針が、全介助が必要な人の移乗で原則として行わせないとしていることはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 人力による人の抱上げ
正解は人力による人の抱上げです。全介助が必要な人にはリフト等を積極的に使うよう求めていました。

01誤嚥と誤嚥性肺炎:飲み込む力が弱くなると起こる

飲み込む力が弱くなったり、うまく咳ができなくなったりすると、口の中の汚れや細菌が誤って気管に入ることがあります。これを誤嚥と呼びます。

兵庫県は、誤嚥によって肺に細菌が入り込み、炎症を起こす肺炎を「誤嚥性肺炎」と説明しています。食べ物や飲み物だけでなく、胃から逆流した液が入ることもあります。

食事の介助は、栄養をとるためだけのものではありません。誤嚥を防ぐことも、介助の大切な役割です。兵庫県は、要介護高齢者の口腔ケアに携わるスタッフ向けのリーフレットを作り、誤嚥性肺炎の予防に取り組んでいます。

02姿勢:座り直して、足を床に、上半身を起こす

公益財団法人テクノエイド協会の研修教材は、車いすで前にずり落ちた姿勢では顎を引いた姿勢がとりづらく、誤嚥の危険が高まるとしています。

教材は、本来は車いすから椅子に座りかえることが推奨されるとしています。難しい場合は、体格に合った車いすを選び、食事の前に座り直しを行います。踏み台などで足を床につけ、上半身をしっかり起こして食べる工夫も挙げています。

ベッドの背上げだけでは頭をしっかり起こせず、誤嚥しやすい姿勢になるとも書かれています。教材は、できるだけベッドから離れて食事をすることが大切だとしています。

やむを得ずベッドで食べる場合は、背を上げる前に寝ている位置を整え、膝を先に上げてずり落ちを防ぎます。そのうえで、肩から頭にクッションを入れるなど姿勢づくりに配慮します。

03食べ物の形:嚥下調整食分類2021という共通のものさし

飲み込みにくい人向けの食事の段階を示す共通の目安として、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「嚥下調整食分類2021」があります。

この分類は2013年に初版が出され、2021年に改訂版が公表されました。食事の段階は、コード0j・0t・1j・2-1・2-2・3・4に分かれています。とろみ水の0tは、ゼリーを丸呑みして誤嚥したり、ゼリーが口の中で溶けてしまったりする場合を想定しています。

コードごとに、形態の特徴と必要な咀嚼能力が示されています。施設や病院の間で同じ言葉で食事の形を伝えられることが、この分類の利点です。

コード形態の例
0j均質で、付着性・凝集性・かたさに配慮したゼリー(評価・訓練用)
0t均質で、付着性・凝集性・かたさに配慮したとろみ水(評価・訓練用)
1j均質で、離水にも配慮したゼリー・プリン・ムース状のもの
2-1ピューレ・ペースト・ミキサー食など、均質でなめらかなもの
2-2ピューレ・ペースト・ミキサー食などで、不均質なものも含む
3形はあるが、舌と口蓋の間で押しつぶしが容易なもの
4かたさ・ばらけやすさ・貼りつきやすさがなく、箸やスプーンで切れるやわらかさ
嚥下調整食分類2021の食事の段階(日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食分類2021」、京都府の早見表をもとに作成。使うときは学会の本文を確認)

あなたの場合は?

あなたが食事をするとき、背もたれに寄りかかって顎が上がっていることはありませんか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 誤嚥とは、口の中の汚れや細菌、食べ物などが誤って気管に入ること。肺炎につながることがある
  2. 車いすでずり落ちた姿勢は誤嚥の危険を高める。座り直し、足を床につけ、上半身を起こす
  3. 嚥下調整食分類2021:コード0j〜4で食事の段階を共通の言葉で伝える

TERMSこのレッスンの用語

誤嚥Aspiration

食べ物や飲み物、口の中の汚れや細菌、胃から逆流した液などが、誤って気管に入ること。

誤嚥性肺炎Aspiration pneumonia

誤嚥によって肺に細菌が入り込み、炎症を起こして発症する肺炎。

嚥下調整食分類2021Japanese Dysphagia Diet 2021

日本摂食嚥下リハビリテーション学会が示す、飲み込みにくい人向けの食事と、とろみの段階分類。2013年の初版を2021年に改訂した。

LESSON 5-2 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. テクノエイド協会の研修教材が、車いすで前にずり落ちた姿勢について説明していることはどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 顎を引いた姿勢がとりづらく、誤嚥の危険が高まる
正解です。ずり落ちた姿勢では顎を引きづらく、食べたものが気道に入りやすくなります。

Q2. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類について、正しいものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 食事の段階はコード0j〜4に分かれている
ここがポイントです。初版は2013年で、2021年に改訂されました。食事の段階はコード0j・0t・1j・2-1・2-2・3・4です。

日常の場面で考える

Q3. あなたは施設の介護職です。ベッドで食事をとるKさんの背を上げようとしたら、体が足の方へずり落ちています。教材に沿った手順はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 寝ている位置を整え、膝を先に上げてから背を上げ、肩から頭にクッションを入れる
惜しかった人も大丈夫です。背上げだけでは頭を起こせず、誤嚥しやすくなります。位置を整え、膝を先に上げてずり落ちを防ぎます。

レッスン5-2はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第5章 生活支援技術 のレッスン一覧
  1. 5-1移動と移乗の介助
  2. 5-2食事の介助
  3. 5-3入浴と清潔の介助
  4. 5-4排泄の介助
  5. 5-5着替えと身じたく
  6. 5-6人生の最終段階の介護

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出典(5件)
  1. 兵庫県「誤嚥性肺炎予防のための要介護者への口腔ケア定着推進事業」(2025年9月9日更新)
  2. 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具ヒヤリハット 研修教材」Case369 ズッコケた姿勢のまま食事介助を行い、誤嚥しそうになる
  3. 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具ヒヤリハット 研修教材」Case368 背上げ不良姿勢で食事介助を行い、誤嚥しそうになる
  4. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」
  5. 京都府「嚥下調整食学会分類2021 早見表」