HOME / ゼロから学ぶ介護福祉士 / 講座 / 第5章 生活支援技術 / 入浴と清潔の介助
第5章 生活支援技術 ・ レッスン5-3入浴と清潔の介助とは?安全と気持ちよさを両立する
約5分 ・ 公開日 2026-10-06
このレッスンの問い
寒い冬の夜、暖かい居間から冷えた脱衣所へ。お風呂の前のこの移動には、どんな危険があると思いますか?
読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。
前のレッスンの復習(1問)
本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。
Q1. 前のレッスンの復習です。テクノエイド協会の研修教材が、ベッドで食事をとるときの姿勢について説明していることはどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 背上げだけでは頭をしっかり起こせず、誤嚥しやすい姿勢になる
正解です。教材は、できるだけベッドから離れて食事をすることが大切だとしていました。
01入浴は、清潔と快適な暮らしのための支援
介護老人福祉施設の運営基準は、1週間に2回以上、適切な方法で入所者を入浴させ、または清拭しなければならないと定めています(第13条第2項)。
ユニット型の施設については、入居者が身体の清潔を維持し、精神的に快適な生活を営めるよう、入浴の機会を提供するとしています(第43条第3項)。入浴の目的は、汚れを落とすことだけではありません。
やむを得ない場合は、清拭をもって入浴の機会に代えることができます。清拭とは、体をふいて清潔にすることです。
02入浴中の事故:温度差と熱い湯に注意
消費者庁によると、浴槽内での溺死と溺水による死亡者は令和6年に7,776人で、そのうち65歳以上が7,363人と約95%を占めています。
同じ年の交通事故による65歳以上の死亡者は2,103人で、浴槽での死亡者はその3倍以上です。消費者庁は、溺死や溺水の死亡者は12月、1月といった冬場に多くなるとしています。
冬場に溺れる事故の原因として挙げられているのは、暖かい部屋と寒い脱衣所や浴室との温度差による急激な血圧の変動です。熱い湯に長くつかることによる体温上昇での意識障害も挙げられています。
消費者庁は、前もって脱衣所や浴室を暖め、入浴前に水分補給をするよう呼びかけています。湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にし、浴槽から急に立ち上がらないようにします。
高齢者がいる家庭に向けては、「時間が長い」「音が全くしない」など何か異常を感じたら、ためらわずに声をかけるよう呼びかけています。
03介助の場面:すべりやすく、狭く、見えにくい浴室
テクノエイド協会の研修教材は、浴室はスペースが十分でなく、介助者から見えづらい箇所もあるため、危険が高まるとしています。
車輪の付いた入浴用のいす(シャワーキャリー)の事例では、すべりやすい環境で体が前方にすべりそうになる例が挙げられています。背中を洗うなど体を前に傾ける場面でも、前方にバランスを崩すことがあるとされています。
座部を台車部に固定するロックのかけ忘れで、座部が倒れそうになる例もあります。教材は、介助者が操作手順を守ることが大切だとしています。
| 場面 | ポイント |
|---|---|
| 入浴前 | 前もって脱衣所や浴室を暖め、温度差を減らす |
| 入浴前 | 水分補給をする。食後すぐ、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避ける |
| 入浴時 | 湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にする |
| 入浴時 | 浴槽から急に立ち上がらない |
| 周りの人 | こまめに声をかけて様子を確認する |
あなたの場合は?
あなたの家の脱衣所は、冬にどのくらい寒いですか。居間との温度差を考えたことはありますか?
答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。
覚えるのはこの3つ
- 運営基準:介護老人福祉施設は週2回以上、入浴させるか清拭する(第13条第2項)
- 浴槽での死亡は令和6年に7,776人、うち65歳以上が約95%。温度差と熱い湯に注意
- 湯温41度以下・10分までを目安に。浴室はすべりやすく狭いので、福祉用具の操作手順を守る
TERMSこのレッスンの用語
体をふいて清潔にすること。運営基準は、やむを得ない場合に清拭をもって入浴の機会に代えられるとしている。
入浴の場面で使う、車輪の付いた入浴用のいす。座面が回転するものや、リクライニングできるものがある。
LESSON 5-3 の確認
確認問題(全3問)
本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。
Q1. 介護老人福祉施設の運営基準(第13条第2項)が定める、入浴または清拭の回数はどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 1週間に2回以上
正解です。1週間に2回以上、適切な方法で入浴させ、または清拭しなければならないと定めています。
Q2. 消費者庁が示す、入浴時の湯温とつかる時間の目安はどれでしょう?
答えを見る
正解: 1. 湯温41度以下、10分まで
ここがポイントです。熱い湯に長くつかると、体温上昇で意識障害を起こすことがあります。
Q3. あなたは在宅の家族介護について相談を受けました。「冬は父が入浴後に浴槽から勢いよく立ち上がる」とのことです。消費者庁の呼びかけに沿った助言はどれでしょう?
答えを見る
正解: 1. 浴槽から急に立ち上がらないようにし、脱衣所や浴室を前もって暖めておく
惜しかった人も大丈夫です。消費者庁は、浴槽から急に立ち上がらないこと、前もって脱衣所や浴室を暖めることを呼びかけています。
レッスン5-3はここまでです
迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。
出典(7件)
- e-Gov法令検索「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(第13条・第43条)
- 消費者庁「年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!」別添資料(令和7年12月23日)
- 消費者庁「コラムVol.12 高齢者の事故―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意―」(令和6年12月)
- 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具ヒヤリハット 研修教材」Case93 座面を回転させた際に、足がキャスタにあたりケガをしそうになる
- 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具ヒヤリハット 研修教材」Case99 リクライニングさせたとき、利用者の身体が前方へすべり落ちそうになる
- 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具ヒヤリハット 研修教材」Case265 フットサポートに足をのせたまま立ち上がり、転倒しそうになる
- 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具ヒヤリハット 研修教材」Case268 台車部と固定をするロックをかけ忘れ、座部が倒れそうになる