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第7章 発達と老化の理解 ・ レッスン7-2

老化でからだとこころはどう変わる?衰える力と保たれる力

約5分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

年をとると、からだもこころも、すべての力がそろって衰えていくと思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン7-1から

Q1. エリクソンの心理社会的発達理論で、65歳からの老年期の課題とされるものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 3. 統合 対 絶望
正解は「統合 対 絶望」です。老年期には人生を振り返り、その意味を見いだすことが課題になります。

01からだの老化:予備力と回復力が下がる

年をとると細胞の数が減り、働きも落ちるため、臓器の働きや、ストレスに対応する予備力・回復力が少しずつ下がります。

細胞の減少や働きの低下で進む老化を、生理的老化と呼びます。長年使ってきた心臓や肺などの臓器の働きが低下します。

予備力とは、ふだんの状態からストレスが加わったときに対応できる力です。これが下がると、少しのきっかけで体調を崩しやすく、治りにくくなります。

体温や体の水分を一定に保つ働きも弱まります。暑さ寒さに合わせた体温調節が難しくなり、発熱や下痢で脱水を起こしやすくなります。

02感覚の変化:見えにくさ・聞こえにくさは少しずつ

老眼や白内障、高い音が聞こえにくい難聴、味やにおい・温度の感じにくさなど、感覚の働きもゆっくり低下します。

国立長寿医療研究センターによると、耳の聴力は30歳代から低下し始め、難聴のある人の割合は65歳以上で急増します。加齢性難聴は数年以上かけてゆっくり進むため、本人が気づかないこともよくあります。

目では、近くが見えにくくなる老眼や、白内障が増えます。目のかすみや、見える範囲が狭くなる視野障害が起こることもあります。

嗅覚や味覚も低下し、触覚や温度の感覚も鈍くなります。熱いお湯や小さなけがに、本人が気づきにくいことがあると考えておきましょう。

03こころの変化:知能には保たれやすい力がある

知能のうち、経験や学習で身につけた結晶性知能は高齢になっても保たれやすく、新しい情報をすばやく処理する流動性知能は低下しやすいとされます。

知能を2つに分ける考え方は、心理学者のホーンとキャッテルが唱えました。言葉の力や理解力などは結晶性知能、処理の速さや法則を見つける力は流動性知能です。

ソルトハウスの研究では、語彙は60歳ごろまで上がり、その後もほとんど下がりませんでした。一方、処理の速さや推論、記憶は、年齢とともに下がりました。

老化は、すべての力がそろって衰えることではありません。長い経験から生まれた知恵や言葉の力を、生活の場面で生かす視点が大切です。

からだの部分主な変化の例
感覚器老眼・白内障、難聴(高い音が聞こえにくい等)、嗅覚・味覚の低下、触覚・温度覚の鈍化
消化器かむ力・飲み込む力の低下、便秘
循環器動脈硬化の進行、不整脈
呼吸器肺活量の低下
筋・骨格骨密度の低下、筋肉量の減少・筋力の低下、関節の動く範囲が狭くなる
泌尿器頻尿、尿路感染症
加齢に伴うからだの変化の例(健康長寿ネット「高齢者の身体的特徴」表1から一部を抜粋)

あなたの場合は?

身近な高齢の人と話すとき、聞き返されたことはありませんか?それは、どんな音や話し方のときだったでしょう?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 生理的老化で臓器の働きと予備力・回復力が下がり、体調を崩しやすく治りにくくなる
  2. 聴力は30歳代から低下し始め、加齢性難聴はゆっくり進むので本人が気づきにくい
  3. 結晶性知能(経験・言葉)は保たれやすく、流動性知能(処理の速さ)は低下しやすい

TERMSこのレッスンの用語

生理的老化Physiological aging

加齢に伴い、からだの各器官を構成する細胞の数が減り、細胞の働きも低下することで進む老化。

結晶性知能Crystallized intelligence

長年の経験や教育・学習で身につける知能。言語能力・理解力・洞察力などを含み、高齢になっても保たれやすい。

流動性知能Fluid intelligence

新しい情報を獲得し、処理・操作して新しい環境に適応する知能。処理のスピードなどを含み、加齢で低下しやすい。

LESSON 7-2 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 生理的老化によって起こる変化として、本文の内容に合うものはどれでしょう?

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正解: 1. 予備力・回復力が下がり、病気が治りにくくなる
正解です。予備力と回復力が下がるため、少しのきっかけで体調を崩しやすく、治りにくくなります。体温調節は難しくなり、脱水も起こしやすくなります。

Q2. 高齢になっても保たれやすいとされる知能はどれでしょう?

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正解: 2. 言語能力や理解力を含む結晶性知能
ここがポイントです。経験や学習で身につけた結晶性知能は保たれやすく、流動性知能は低下しやすいとされます。

日常の場面で考える

Q3. あなたは訪問介護の職員です。85歳のLさんは、最近テレビの音量が大きくなり、話しかけると聞き返すことが増えました。本人は「よく聞こえている」と言います。本文をふまえた考え方として適切なものはどれでしょう?

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正解: 2. 加齢性難聴はゆっくり進み本人が気づきにくいので、様子を記録してサービス提供責任者に伝える
加齢性難聴はゆっくり進むため、本人が気づかないことがよくあります。介護職は診断をせず、気づいた様子を記録してチームに伝えます。

レッスン7-2はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第7章 発達と老化の理解 のレッスン一覧
  1. 7-1一生の発達と老年期
  2. 7-2老化によるからだとこころの変化
  3. 7-3高齢者に多い病気とサイン
  4. 7-4フレイルと介護予防

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出典(3件)
  1. 健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)「高齢者の身体的特徴」(2024年8月28日更新。生理的老化・予備力と回復力・恒常性維持機能の低下、表1 加齢に伴う身体機能の変化)
  2. 国立長寿医療研究センター「補聴器は何歳から必要?」(聴力の低下が始まる年代、65歳以上での難聴の急増、加齢性難聴の進み方)
  3. 西田裕紀子(国立長寿医療研究センター)「高齢期における知能の加齢変化」健康長寿ネット(2024年8月14日更新。結晶性知能と流動性知能、ホーンとキャッテル、ソルトハウスの研究)