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第4章 人間関係とコミュニケーション ・ レッスン4-1

信頼関係はどうつくる?受容・共感・傾聴の基本

約4分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

悩みを話したとき「わかってもらえた」と感じた相手は、どんな聴き方をしていたと思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

01傾聴:「聴く」は相手に向かう積極的な行為

傾聴とは、相手が何を語り表現しようとしているのかを、注意深く集中して聴くことです。受け身ではなく、自分から相手にかかわる行為です。

厚生労働省のサイト「こころの耳」は、きくを3つに分けています。受け身で耳に入る「聞く」、問いただす「訊く」、そして集中して耳を傾ける「聴く」です。傾聴は、この「聴く」にあたります。

相手に積極的にかかわる行為なので、積極的傾聴(アクティブ・リスニング)とも呼ばれます。提唱したのは、米国の心理学者カール・ロジャーズです。

傾聴の姿勢で聴いてもらうと、話し手の不安や緊張がやわらぎます。尊重してもらえたという感覚が生まれ、それが聴き手への信頼感につながっていきます。

02ロジャーズが示した、聴き手の3つの態度

ロジャーズは、カウンセリングがうまくいった事例に共通する聴き手の態度として、共感的理解・無条件の肯定的関心・自己一致の3つを挙げました。

共感的理解は、相手の立場に立ち、気持ちに共感しながら理解しようとすることです。無条件の肯定的関心は、善悪や好き嫌いの評価を入れずに聴くことです。否定せず、なぜそう考えるようになったのか、その背景に関心を持ちます。

自己一致は、相手にも自分にも真摯な態度でいることです。わからないところをそのままにせず、聴き直して確かめます。わかったふりをすることは、自己一致に反します。

日本介護福祉士会の倫理基準も、利用者を一人の生活者として受けとめ、全面的に理解し、受容して支援するとしています。

03介護の場面では:評価せずに聴き、確かめる

利用者の話は、途中で原因を探したり、評価や否定をしたりせずに、最後まで聴きます。わからないことは、教えてもらう姿勢で尋ねます。

こころの耳は、先入観を持たずに本気で聴くことが大切だとしています。安心して何でも話せると感じてもらえると、対話が進み、困りごとを正確につかめます。

一方で、技法ばかりを意識した形だけの傾聴は、温かさを欠き、かえって逆効果になることがあるとも書いています。

聴いたうえで、決めるのは利用者自身です。倫理綱領の利用者本位の考え方は、第2章の「介護福祉士の倫理」で学びました。

態度意味介護の場面での例
共感的理解相手の立場に立ち、気持ちに共感しながら理解しようとする「家に帰りたい」という言葉の奥にある寂しさを想像しながら聴く
無条件の肯定的関心善悪や好き嫌いの評価を入れずに聴き、考えの背景に関心を持つ「そんなこと言わないで」と打ち消さず、そう思う理由をたずねる
自己一致相手にも自分にも真摯でいて、わからないことは聴き直して確かめる聞き取れなかった言葉は、わかったふりをせず聞き返す
ロジャーズの3つの態度(厚生労働省「こころの耳」の説明をもとに作成。介護の場面の例は当サイトによる)

あなたの場合は?

最近、誰かの話を聴きながら、途中で口をはさみたくなったことはありますか。そのとき、相手はどんな気持ちだったと思いますか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 傾聴とは、相手が語ろうとしていることを注意深く集中して聴く、積極的な行為
  2. ロジャーズの3つの態度:共感的理解・無条件の肯定的関心・自己一致
  3. 評価や否定をせず最後まで聴き、わからないことは聴き直して確かめる

TERMSこのレッスンの用語

傾聴Active listening

相手が何を語り表現しようとしているのかを、注意深く集中して聴くこと。積極的傾聴とも呼ばれる。

共感的理解Empathic understanding

相手の立場に立ち、相手の気持ちに共感しながら理解しようとすること。ロジャーズが示した聴き手の態度の一つ。

自己一致Congruence

聴き手が相手にも自分にも真摯な態度でいること。わからないことはそのままにせず、聴き直して確かめる。

LESSON 4-1 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 傾聴の「聴く」の説明として、最も近いものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 相手が語ろうとしていることを、注意深く集中して聴くこと
正解は、注意深く集中して聴くことです。受け身で聞くのは「聞く」、問いただすのは「訊く」でした。

Q2. ロジャーズの3つの態度のうち、「善悪や好き嫌いの評価を入れずに聴く」ことを指すのはどれでしょう?

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正解: 3. 無条件の肯定的関心
ここがポイントです。評価を入れずに聴き、考えの背景に関心を持つのが無条件の肯定的関心です。自己一致は真摯でいること、共感的理解は相手の立場に立って理解しようとすることでした。

日常の場面で考える

Q3. あなたは施設の介護職です。利用者のJさんが夕方になると「家に帰りたい」と何度も話します。傾聴の考え方に沿った対応はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 話をさえぎらずに聴き、帰りたい気持ちやその理由をたずねて確かめる
惜しかった人も大丈夫です。評価や否定をせずに最後まで聴き、気持ちの背景に関心を持って確かめることが傾聴です。打ち消したり聞き流したりすると、安心して話せなくなります。

レッスン4-1はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第4章 人間関係とコミュニケーション のレッスン一覧
  1. 4-1受容・共感・傾聴
  2. 4-2非言語コミュニケーション
  3. 4-3障害に応じたコミュニケーション
  4. 4-4報告・連絡・相談と記録

講座の目次(全12章)へ

出典(4件)
  1. 厚生労働省「こころの耳」話を「聴く」〜積極的傾聴とは〜(ロジャーズの3原則)
  2. 厚生労働省「こころの耳」部下の話を聴けていますか-傾聴のすすめ-「1 傾聴の基本的態度」
  3. 厚生労働省「こころの耳」部下の話を聴けていますか-傾聴のすすめ-「2 傾聴の効果」
  4. 日本介護福祉士会「倫理綱領」(倫理基準(行動規範))