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第4章 人間関係とコミュニケーション ・ レッスン4-2

言葉以外で何が伝わる?表情・距離・ふれ方

約5分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

「大丈夫ですよ」と言いながら腕を組み、目をそらす人。あなたは言葉と態度のどちらを信じますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン4-1から

Q1. 前のレッスンの復習です。わからないところをそのままにせず、聴き直して確かめる態度は、ロジャーズの3つの態度のどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 自己一致
正解は自己一致です。相手にも自分にも真摯でいることで、わかったふりは自己一致に反するのでした。

01表情・視線・姿勢・声も、メッセージになる

関心を向けているかどうかは、言葉だけでなく、表情・視線・姿勢・動作・声といった非言語的メッセージでも相手に伝わります。

厚生労働省の「こころの耳」は、聴くときの自分を点検するよう勧めています。表情や視線は穏やかに相手に向いているか、腕組みや脚組みをしていないか。声のトーンは落ち着き、話す速さは速すぎないか、という点です。

聴いていることを伝える最良の方法として挙げられているのが、うなずきとあいづちです。自然なテンポで返してもらえると、話し手は聴いてもらえていると感じ、次の言葉が出やすくなります。

看護教育などで使われるマイクロカウンセリングでも、視線を合わせる、関心を示す身ぶり、声の調子を、相手に向き合う基本の行動としています。

02距離:近さそのものが意味を持つ

人と人との距離も、言葉以外のメッセージです。エドワード・ホールは、人が保つ距離を親密・個人的・社会的・公的の4つに分けました。

ブラジルの輸血室で看護職を観察した研究(2025年)は、ホールの区分を使っています。約45cmまでの親密な距離は、直接ふれあう距離です。バイタルサインの測定や採血のような処置の場面で見られました。

約45cm〜1.2mの個人的な距離は、手を伸ばせば触れられる距離です。本人確認や会話の場面で使われていました。

ただし、この距離の感じ方は文化によって大きく異なるとされています。数字は目安として、相手の表情を見ながら近づき方を調整しましょう。

03ふれ方:視線や言葉と組み合わせる

触れることは、視線を合わせることと並んで、よく使われる非言語コミュニケーションの手段です。

認知症ケアの技法の一つであるユマニチュードは、見る・話す・触れる・立つの4つを柱にしています。中でも、視線・言葉・触れることのうち、少なくとも2つを同時に使うことを求めています。

たとえば、相手の正面から視線を向け、話しかけながら手に触れる、という組み合わせです。言葉だけ、触れるだけで済ませず、伝え方を重ねます。

介助の多くは、体に触れる親密な距離で行います。だからこそ、表情や声も合わせた伝え方が大切です。

区分目安研究で見られた場面
親密な距離約45cmまでバイタルサインの測定、採血、輸血バッグの取り付け
個人的な距離約45cm〜1.2m本人確認、会話
社会的な距離約1.2m〜3.6m初めて輸血を受け、不安になってスタッフを呼ぶ場面など
公的な距離約3.6mより遠く、見え聞こえる範囲まで—
ホールの距離の区分と、看護の場面での例(Gonçalves ほか, Rev Esc Enferm USP 2025 をもとに作成。距離は目安で、文化によって大きく異なる)

あなたの場合は?

あなたが「この人は話を聴いてくれている」と感じるのは、相手のどんな表情や仕草を見たときですか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 表情・視線・姿勢・動作・声は、言葉と同じくらい関心の有無を伝える
  2. 聴いていることを伝える基本は、自然なテンポのうなずきとあいづち
  3. 触れるときは視線や言葉と組み合わせる。距離の感じ方は文化で異なる

TERMSこのレッスンの用語

非言語コミュニケーションNonverbal communication

表情・視線・姿勢・動作・声の調子・距離・触れることなど、言葉以外の手段で行うコミュニケーション。

あいづちBackchannel response

話を聴きながら短い言葉を返すこと。うなずきとともに、聴いていることを相手に伝える方法。

パーソナルスペースPersonal space

人が他人との間に保とうとする空間。保つ距離によって決まり、その感じ方は文化によって大きく異なる。

LESSON 4-2 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 「こころの耳」が、聴いていることを相手に伝える最良の方法として挙げているものはどれでしょう?

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正解: 2. うなずきやあいづちを返すこと
正解は、うなずきやあいづちです。自然で落ち着いたテンポで返すと、話し手は聴いてもらえていると感じやすくなります。

Q2. ホールの区分で、約45cm〜1.2mの「個人的な距離」の説明として正しいものはどれでしょう?

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正解: 2. 手を伸ばせば触れられ、会話によく使われる距離
ここがポイントです。直接ふれあうのは約45cmまでの親密な距離、遠くの距離は公的な距離でした。距離の感じ方は文化によって大きく異なるので、目安として使います。

日常の場面で考える

Q3. あなたは施設の介護職です。ベッドで横になっているKさんの着替えを手伝います。言葉以外のコミュニケーションの考え方に沿った始め方はどれでしょう?

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正解: 3. 近づいて視線を向け、これから着替えることを話しかけながら、手にそっと触れる
惜しかった人も大丈夫です。視線・言葉・触れることを組み合わせると、何が起きるのかが伝わりやすくなります。黙って急に触れたり、遠くから声だけかけたりするのは避けます。

レッスン4-2はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第4章 人間関係とコミュニケーション のレッスン一覧
  1. 4-1受容・共感・傾聴
  2. 4-2非言語コミュニケーション
  3. 4-3障害に応じたコミュニケーション
  4. 4-4報告・連絡・相談と記録

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出典(5件)
  1. 厚生労働省「こころの耳」部下の話を聴けていますか-傾聴のすすめ-「3 傾聴のポイント」
  2. Fujii T, et al. Microcounseling in Japanese Nursing Education: A Narrative Review of Communication Skill Acquisition and Educational Implications. SAGE Open Nursing, 2026.
  3. Gonçalves FGA, et al. Nursing team proxemic mapping in the hemotherapy space. Revista da Escola de Enfermagem da USP, 2025.
  4. Kobayashi M, et al. Effect of multimodal comprehensive communication skills training with video analysis by artificial intelligence for physicians on acute geriatric care: a mixed-methods study. BMJ Open, 2023.
  5. Sato W, et al. Behavioral and neural underpinnings of empathic characteristics in a Humanitude-care expert. Frontiers in Medicine, 2023.