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第12章 介護の現場の課題 ・ レッスン12-3

施設での虐待を防ぐには?通報義務と職場の取り組み

約5分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

同じ職場の先輩が、利用者に乱暴な言葉を浴びせているのを見たら。あなたは誰に、どう伝えますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン12-2から

Q1. 前のレッスンの復習です。育児・介護休業法で、介護休業を取れるのは対象家族1人につき何日まででしょう?

答えを見る

正解: 2. 通算93日まで
正解は「通算93日まで」です。3回まで分けて取れます。1年度に5労働日までなのは介護休暇でした。

介護のことで困ったときの相談先

この講座は学習用で、個別のケースの判断はできません。家族の介護に困ったときや、高齢者への虐待かもしれないと思ったときは、次の公的な窓口に相談できます。確信がなくても相談できます。

命の危険があるときは110番や119番に連絡してください。出典: e-Gov法令検索「介護保険法」第115条の46、e-Gov法令検索「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」第7条・第21条

01施設職員による虐待は、4年連続で過去最多

厚生労働省の令和6年度の調査では、養介護施設従事者等による虐待の相談・通報は3,633件、虐待と判断された件数は1,220件で、どちらも過去最多で4年連続の増加でした。

相談・通報者で最も多かったのは、その施設の職員(27.4%)です。次いで施設の管理者等(18.2%)、家族・親族(14.6%)の順でした。

虐待の発生要因で最も多かったのは、職員の虐待や権利擁護、身体拘束に関する知識・意識の不足(75.9%)です。職員の倫理観・理念の欠如(64.3%)、ストレス・感情のコントロール(62.5%)が続きます。

虐待があった施設の種別は、特別養護老人ホーム(28.9%)と有料老人ホーム(28.4%)がそれぞれ3割近くを占めました。虐待の種類と養護者による虐待の数は、第3章で学びました。

02職場で見つけたら、速やかに市町村へ通報する

施設の職員は、自分の職場で、職員による虐待を受けたと思われる高齢者を見つけたら、速やかに市町村に通報しなければなりません(高齢者虐待防止法第21条第1項)。

守秘義務の規定は、この通報を妨げるものと解釈してはならないとされています(同条第6項)。通報したことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いを受けることもありません(同条第7項)。

通報を受けた市町村の職員は、通報した人を特定させる情報を漏らしてはなりません(第23条)。虐待を受けた高齢者本人も、市町村に届け出ることができます(第21条第4項)。市町村長や都道府県知事は、老人福祉法や介護保険法の権限を使って、高齢者の保護を図ります(第24条)。

03施設に義務づけられた、4つの防止措置

介護老人福祉施設は、虐待の発生や再発を防ぐため、委員会の定期的な開催、指針の整備、研修の定期的な実施、担当者の設置の4つを行わなければなりません(運営基準第35条の2)。

高齢者虐待防止法第20条も、施設に職員の研修や、利用者と家族からの苦情処理の体制の整備などを求めています。

令和6年度の介護報酬改定では、こうした虐待防止の措置を講じていない場合に、基本報酬を減算するしくみが設けられました。厚生労働省は、この内容の周知を関係団体に改めて要請しています。

知識不足が最大の要因である以上、研修で学び続けることが防止の第一歩です。身体拘束をしない介護は第2章で学びました。

項目令和6年度の結果
相談・通報件数3,633件(前年度より192件増、過去最多)
虐待判断件数1,220件(前年度より97件増、過去最多)
最も多い相談・通報者当該施設職員(27.4%)
最も多い虐待の種別身体的虐待(51.1%)
最も多い発生要因職員の虐待や権利擁護、身体拘束に関する知識・意識の不足(75.9%)
養介護施設従事者等による高齢者虐待の状況(厚生労働省「令和6年度 高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果」令和7年12月25日公表をもとに作成)

あなたの場合は?

あなたの職場で、虐待防止の担当者や指針がどこにあるか、知っていますか?明日確かめてみましょう。

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 令和6年度、施設職員等による虐待は通報3,633件・判断1,220件で過去最多
  2. 職場で虐待を受けたと思われる高齢者を見つけたら、速やかに市町村へ通報。不利益な取扱いは受けない
  3. 施設の防止措置は、委員会・指針・研修・担当者の4つ。未実施は基本報酬の減算

TERMSこのレッスンの用語

養介護施設従事者等Care facility staff

介護老人福祉施設や居宅サービス事業など、高齢者の介護に関わる施設・事業の業務に従事する人。

虐待の防止のための措置Abuse prevention measures

虐待の発生や再発を防ぐため施設が講じる、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の設置の4つの措置。

LESSON 12-3 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 令和6年度の調査で、養介護施設従事者等による虐待の発生要因として最も多かったものはどれでしょう?

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正解: 1. 職員の虐待や権利擁護、身体拘束に関する知識・意識の不足
正解は「知識・意識の不足」(75.9%)です。倫理観・理念の欠如、ストレス・感情のコントロールが続きました。

Q2. 運営基準第35条の2が介護老人福祉施設に求める虐待防止の措置に含まれないものはどれでしょう?

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正解: 3. 全職員の自宅への訪問
ここがポイントです。4つの措置は、委員会・指針・研修・担当者でした。

日常の場面で考える

Q3. あなたは施設の介護福祉士です。同僚が入所者をたたいているのを見ましたが、「通報したら職場にいられなくなる」と不安です。法律に沿った考え方はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 速やかに市町村に通報する。通報を理由に解雇などの不利益な取扱いは受けない
惜しかった人も大丈夫です。虐待を受けたと思われる段階で通報義務があります。守秘義務は通報を妨げず、通報を理由とする不利益な取扱いは禁じられています。

レッスン12-3はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第12章 介護の現場の課題 のレッスン一覧
  1. 12-1介護人材の不足
  2. 12-2家族介護者と仕事の両立
  3. 12-3施設での虐待を防ぐ

講座の目次(全12章)へ

出典(3件)
  1. 厚生労働省「令和6年度『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果」(令和7年12月25日)
  2. e-Gov法令検索「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(第20条・第21条・第23条・第24条)
  3. e-Gov法令検索「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(第35条の2)