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第12章 介護の現場の課題 ・ レッスン12-1

介護人材の不足はなぜ起きるのか?必要数と処遇改善

約4分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

介護の仕事の求人は、ほかの仕事と比べて「人が集まりやすい」と思いますか?「集まりにくい」と思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

介護のことで困ったときの相談先

この講座は学習用で、個別のケースの判断はできません。家族の介護に困ったときや、高齢者への虐待かもしれないと思ったときは、次の公的な窓口に相談できます。確信がなくても相談できます。

命の危険があるときは110番や119番に連絡してください。出典: e-Gov法令検索「介護保険法」第115条の46、e-Gov法令検索「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」第7条・第21条

012040年度には約272万人の介護職員が必要

厚生労働省が2024(令和6)年7月に公表した推計では、介護職員の必要数は2026年度に約240万人、2040年度に約272万人です。

これは、都道府県が第9期介護保険事業計画のサービス見込み量などをもとに推計した数を集計したものです。2022年度の介護職員数は約215万人でした。必要数には、介護保険の事業所や施設で働く介護職員などが含まれます。

2022年度と比べると、2026年度には約25万人、2040年度には約57万人の上乗せが必要になります。1年あたりでは、2026年度までに約6.3万人ずつ増やす計算です。

02高齢者が増え、働き手の世代が減っていく

厚生労働省の資料は、2025年以降、人口構造の局面が「高齢者の急増」から「現役世代の急減」に変わるとしています。

85歳以上の人口は、2035年頃まで一貫して増える見込みです。介護を必要とする人が増える一方で、支える側の世代は減っていきます。

人の集まりにくさは、有効求人倍率に表れます。有効な求人数を求職者数で割った数字で、大きいほど求職者1人あたりの求人が多いことを示します。2025(令和7)年6月の介護関係職種は3.87倍で、職業計の1.05倍を大きく上回りました。

都道府県別では、倍率に大きな地域差があります。地域ごとの高齢化の状況に応じた対応が必要だと、資料は指摘しています。

03国の対策:処遇改善を柱に、5つの取り組み

国は、処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着促進・生産性向上、介護職の魅力向上、外国人材の受入環境整備の5つに総合的に取り組んでいます。

一本化の前には、介護職員の収入を2%程度引き上げる措置が、2024年2月から5月まで行われました。処遇改善では、2024(令和6)年6月に、3種類あった処遇改善の加算を4段階の介護職員等処遇改善加算に一本化しました。できるだけ多くの事業所に活用してもらうためです。

あわせて加算率を引き上げ、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップにつなげることを目指しました。介護福祉士として働き続けられる職場づくりは、利用者を守ることにもつながります。

年度介護職員数・必要数2022年度との差
2022年度(実績)約215万人―
2026年度(必要数)約240万人約25万人増(年約6.3万人)
2040年度(必要数)約272万人約57万人増(年約3.2万人)
介護職員の数と必要数(厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」令和6年7月12日公表をもとに作成)

あなたの場合は?

あなたの職場で、人手が足りないと感じるのはどんな場面ですか?その場面を楽にする工夫を一つ考えてみましょう。

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 介護職員の必要数は2026年度に約240万人、2040年度に約272万人(2022年度は約215万人)
  2. 2025年以降は現役世代が急減。介護関係職種の有効求人倍率は3.87倍(2025年6月)
  3. 2024年6月、処遇改善の3加算を4段階の介護職員等処遇改善加算に一本化

TERMSこのレッスンの用語

有効求人倍率Ratio of job offers to applicants

現在有効な求人数(月間有効求人数)を、求職者数(月間有効求職者数)で割った数字。

介護職員等処遇改善加算Additional payment for improving care workers' treatment

介護職員の賃金改善などのための介護報酬の加算で、2024年6月に3種類の加算を4段階に一本化したもの。

LESSON 12-1 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 厚生労働省の推計で、2040年度に必要とされる介護職員数はどれでしょう?

答えを見る

正解: 3. 約272万人
正解は「約272万人」です。約215万人は2022年度の実績、約240万人は2026年度の必要数でした。

Q2. 2024年6月の処遇改善の見直しとして正しいものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 3種類の加算を4段階の介護職員等処遇改善加算に一本化した
ここがポイントです。できるだけ多くの事業所に活用されるよう、一本化して加算率も引き上げました。

日常の場面で考える

Q3. あなたの職場で後輩が「介護の求人が多いのは、介護の仕事が人気だからですよね」と言いました。資料に沿った説明はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 求人倍率が高いのは、求人に対して働き手が足りないから。高齢者は増え、現役世代は減っていく
惜しかった人も大丈夫です。有効求人倍率が高いのは、求職者1人あたりの求人が多い、つまり人が集まりにくい状態です。

レッスン12-1はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第12章 介護の現場の課題 のレッスン一覧
  1. 12-1介護人材の不足
  2. 12-2家族介護者と仕事の両立
  3. 12-3施設での虐待を防ぐ

講座の目次(全12章)へ

出典(4件)
  1. 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(令和6年7月12日)
  2. 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(別紙1)
  3. 厚生労働省老健局「介護人材確保に向けた処遇改善等の課題」(社会保障審議会介護給付費分科会 第247回 資料2、令和7年9月5日)
  4. 厚生労働省 新潟労働局 ハローワーク新発田「各種統計情報」(有効求人倍率の算出方法)