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第9章 障害の理解 ・ レッスン9-1

障害とは何か?社会的障壁と「社会モデル」の考え方

約5分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

車椅子を使う人が、階段しかない2階の店に入れません。入れない原因は、その人の体にあると思いますか?それとも建物にあると思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

01法律の定義:障害と社会的障壁の両方を見る

障害者基本法は、障害者を、心身の機能の障害と社会的障壁によって、継続的に生活に相当な制限を受ける状態にある人と定めています。

第2条は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)などの心身の機能の障害を「障害」とまとめています。ただし、障害があることだけで定義は終わりません。障害と社会的障壁の両方によって制限を受けている状態を、障害者と呼んでいます。

社会的障壁とは、生活の妨げになる社会の事物、制度、慣行、観念などのことです。段差のような物だけでなく、ルールや思い込みも含まれます。第1条は、障害の有無で分け隔てられず、互いに人格と個性を尊重し合う共生社会を目指すと定めています。

02医学モデルと社会モデル:制限の原因をどこに見るか

社会モデルは、生活の制限は心身の障害だけが原因ではなく、社会の側の障壁によって生じるという考え方です。

内閣府のリーフレットは、障害は個人の心身のはたらきの障害によるものだという考えを「医学モデル」と説明しています。これに対し、制限の原因を社会の側の障壁にも見るのが「社会モデル」です。冒頭の問いなら、社会モデルでは階段という障壁が制限を生んでいると考えます。

エレベーターがあれば、車椅子の人は何も変わらないまま2階に上がれます。変わったのは、周囲の環境だけです。2章で学んだICFでも、環境を変えれば生活が変わることがありました。

内閣府は、社会モデルを障害者権利条約の基本理念と説明しています。日本は2014年1月20日に批准書を国連に寄託し、同年2月19日に日本について発効しました。

03合理的配慮:申し出に応じて、障壁を取り除く

合理的配慮とは、障害のある人から申し出があり、負担が重すぎないとき、社会的障壁を取り除くために行う必要かつ合理的な配慮です。

障害者基本法第4条は、障害を理由とする差別を禁止しています。同条第2項は、社会的障壁を取り除くために必要かつ合理的な配慮をするよう求めています。障害者差別解消法は、行政機関等と事業者が行うべきことを定めた法律です。

差別解消法は令和3年に改正され、事業者による合理的配慮の提供が義務になりました。改正法は2024年(令和6年)4月1日に施行されています。内閣府によると、営利か非営利かを問わず、福祉の分野も対象です。

内閣府は、障害のある人と事業者が「建設的対話」で一緒に対応を考えることが大切だとしています。例えば、飲食店で車椅子のまま着席したいと申し出があり、椅子を片付けて場所をつくった例があります。

医学モデル社会モデル
制限の原因個人の心身のはたらきの障害心身の障害だけでなく、社会の側の障壁
階段しかない2階の店歩けないから上がれない階段という障壁があるから上がれない
解決の方向本人が変わることエレベーターなど、環境を変えること
医学モデルと社会モデル(内閣府リーフレットをもとに作成)

あなたの場合は?

あなたの職場や通り道で、障害のある人にとって「障壁」になりそうな物やルールはありますか?1つ思い浮かべてみましょう。

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 障害者基本法の障害者は、心身の機能の障害と社会的障壁によって、生活に相当な制限を受ける人
  2. 社会モデルは、制限の原因を社会の障壁にも見る考え方。障害者権利条約の基本理念で、日本は2014年に批准
  3. 合理的配慮は、申し出に応じて障壁を取り除くこと。2024年4月1日から事業者にも義務

TERMSこのレッスンの用語

社会モデルSocial model of disability

障害のある人が受ける生活の制限は、心身の障害だけでなく、社会の側の障壁によって生じるという考え方。

医学モデルMedical model of disability

障害は個人の心身のはたらきの障害によるものだという考え方。社会モデルと対比される。

合理的配慮Reasonable accommodation

障害のある人から社会的障壁を取り除くよう申し出があり、負担が過重でないときに行う、必要かつ合理的な配慮。

LESSON 9-1 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 障害の「社会モデル」の説明として正しいものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 生活の制限は、心身の障害だけでなく社会の側の障壁によっても生じると考える
正解です。社会モデルは、制限の原因を社会の側の障壁にも見る考え方です。障害を個人の心身のはたらきの障害によるものと考えるのは医学モデルです。

Q2. 障害者差別解消法の改正で、事業者による合理的配慮の提供が義務になったのはいつからでしょう?

答えを見る

正解: 2. 2024年(令和6年)4月1日
令和3年に改正された障害者差別解消法が2024年(令和6年)4月1日に施行され、事業者にも合理的配慮の提供が義務になりました。2014年2月19日は、障害者権利条約が日本について発効した日です。

日常の場面で考える

Q3. 聴覚に障害のある利用者の家族が、介護施設の家族説明会で「口頭の説明だけでは聞き取れない」と申し出ました。社会モデルと合理的配慮に沿った対応はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 筆談や資料の文字など、伝わる方法を本人と相談して用意する
ここがポイントです。聞き取れない原因を、口頭だけという伝え方の障壁にも見ます。本人と対話し、負担が重すぎない範囲で伝わる方法を用意するのが合理的配慮です。

レッスン9-1はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第9章 障害の理解 のレッスン一覧
  1. 9-1障害と社会モデル
  2. 9-2身体障害
  3. 9-3知的・精神・発達障害
  4. 9-4障害の受容と家族支援

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出典(4件)
  1. e-Gov法令検索「障害者基本法」(第1条・第2条・第4条)
  2. e-Gov法令検索「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(第2条・第8条)
  3. 内閣府リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました」(社会モデルと医学モデル、事業者の範囲、建設的対話、事例)
  4. 内閣府「障害者の権利に関する条約」(2014年1月20日批准書寄託、同年2月19日発効)