HOME / ゼロから学ぶ介護福祉士 / 講座 / 第9章 障害の理解 / 知的・精神・発達障害
第9章 障害の理解 ・ レッスン9-3知的障害・精神障害・発達障害とは?定義と手帳、支援のポイント
約5分 ・ 公開日 2026-10-06
このレッスンの問い
知的障害の定義は、法律のどこかに書かれていると思いますか?
読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。
前のレッスンの復習(1問)
本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。
Q1. 前のレッスンの復習です。身体障害者福祉法の「身体障害者」に当てはまる要件はどれでしょう?
答えを見る
正解: 1. 別表の障害があり、身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の人
正解は1つ目です。身体障害者福祉法第4条は、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の人で、身体障害者手帳の交付を受けた人を身体障害者と定めています。
01知的障害:法律に定義がなく、療育手帳は通知に基づく
知的障害者福祉法は、知的障害者の定義を置いていません。手帳の療育手帳も、法律ではなく国の通知に基づく制度です。
厚生労働省の平成17年度知的障害児(者)基礎調査は、知的障害をこう定義しました。知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じ、特別の援助を必要とする状態です。判断には、知能指数がおおむね70までであることと、日常生活能力の両方を用いています。
療育手帳は、児童相談所か知的障害者更生相談所で知的障害と判定された人に交付されます。根拠は1973年の厚生事務次官通知で、程度は重度(A)とそれ以外(B)に分かれます。
02精神障害と発達障害:法律の定義と手帳
精神保健福祉法は、統合失調症、精神作用物質による急性中毒またはその依存症、知的障害その他の精神疾患を有する人を精神障害者と定めています。
手帳は精神障害者保健福祉手帳で、等級は1級〜3級です。精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から判断され、2年ごとに認定を受け直します。知的障害者は、この手帳の対象から除かれています(第45条)。
発達障害者支援法第2条は、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などを発達障害と定めています。脳機能の障害で、症状が通常低年齢で現れるものです。発達障害者の定義には、社会的障壁による生活の制限が含まれています。
03支援のポイント:伝え方を合わせ、決めつけず、秘密を守る
3つの障害はどれも外見では分かりにくいことが多く、特性に合わせた伝え方と、決めつけない姿勢が支援の土台です。
内閣府が2004年に募った声では、知的障害のある人から、分かりやすい言葉でゆっくり話してほしいという声が寄せられました。絵や図で具体的に説明してほしいという声もあります。発達障害でも、視覚的なサポートがあると理解しやすいという声が多くありました。
精神障害については、打ち明けるには勇気が要るので、勝手に他の人に言わないでほしいという声があります。知り得た情報を守ることは、1章で学んだ秘密保持義務にもつながります。
発達障害のある人からは、外見では分かりにくいため「態度が悪い」と批判されやすいという声が多く寄せられました。行動の背景にある特性に目を向けましょう。
| 障害 | 定義の根拠 | 手帳 |
|---|---|---|
| 知的障害 | 知的障害者福祉法に定義はない(厚生労働省の調査が定義を示す) | 療育手帳(重度Aとそれ以外B、通知に基づく) |
| 精神障害 | 精神保健福祉法第5条 | 精神障害者保健福祉手帳(1級〜3級、2年ごとに認定) |
| 発達障害 | 発達障害者支援法第2条 | 専用の手帳はない(障害者手帳は3種類) |
あなたの場合は?
あなたが誰かに説明をするとき、言葉だけで伝えていませんか?絵や実物、短い言葉に置き換えられる場面を1つ考えてみましょう。
答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。
覚えるのはこの3つ
- 知的障害は法律に定義がなく、療育手帳(A・B)は通知に基づく
- 精神障害者は精神保健福祉法第5条、発達障害は発達障害者支援法第2条で定義。精神の手帳は1級〜3級
- 支援の土台は、分かりやすい伝え方、決めつけない姿勢、打ち明けられた情報を守ること
TERMSこのレッスンの用語
児童相談所または知的障害者更生相談所で知的障害と判定された人に交付される手帳。1973年の厚生事務次官通知に基づき、程度は重度(A)とそれ以外(B)に分かれる。
一定程度の精神障害の状態にあることを認定する手帳。等級は1級〜3級で、2年ごとに認定を受ける(精神保健福祉法第45条)。
自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などの脳機能の障害で、症状が通常低年齢で現れるもの(発達障害者支援法第2条)。
LESSON 9-3 の確認
確認問題(全3問)
本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。
Q1. 療育手帳の根拠として正しいものはどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 国(厚生事務次官)の通知
正解です。療育手帳は、1973年の厚生事務次官通知「療育手帳制度について」に基づく制度です。知的障害者福祉法には知的障害者の定義規定がありません。精神保健福祉法第45条は精神障害者保健福祉手帳の規定です。
Q2. 精神障害者保健福祉手帳について、正しいものはどれでしょう?
答えを見る
正解: 1. 等級は1級〜3級で、2年ごとに認定を受ける
精神障害者保健福祉手帳の等級は1級〜3級で、2年ごとに認定を受けます。1級〜6級で原則更新なしは身体障害者手帳です。第45条は、知的障害者をこの手帳の対象から除いています。
Q3. グループホームで、知的障害のある利用者に来週の外出の予定を伝えます。適切な伝え方はどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 行き先の写真や絵を見せながら、短い言葉でゆっくり伝える
ここがポイントです。知的障害のある人からは、分かりやすい言葉でゆっくり話してほしい、絵や図で具体的に説明してほしいという声が寄せられています。予定は本人に直接伝えます。
出典(10件)
- e-Gov法令検索「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(第5条・第45条)
- e-Gov法令検索「発達障害者支援法」(第2条)
- e-Gov法令検索「知的障害者福祉法」(定義規定がないことの確認)
- 厚生労働省掲載「知的障害の認定基準に関する調査研究」報告書(2019年3月、東京都手をつなぐ育成会)(知的障害者福祉法は定義規定を置いていない)
- 厚生労働省「平成17年度知的障害児(者)基礎調査結果の概要」(用語の定義)
- 厚生労働省「療育手帳制度の概要」(交付対象、1973年の通知、重度Aとそれ以外B)
- 厚生労働省「障害者手帳」(3種類の手帳、精神障害者保健福祉手帳の等級1級〜3級)
- 内閣府「障害のある当事者からのメッセージ」集計結果 6.知的障害(2004年募集)
- 内閣府「障害のある当事者からのメッセージ」集計結果 7.精神障害(2004年募集)
- 内閣府「障害のある当事者からのメッセージ」集計結果 8.発達障害(2004年募集)