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第11章 介護過程 ・ レッスン11-4

事例で考える介護過程。食堂に来なくなったFさん

約5分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

食堂に来なくなった入所者がいたら、あなたはまず何をしますか?「来てください」と声をかけますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン11-3から

Q1. 前のレッスンの復習です。介護計画の目標が評価日に達成されなかったとき、どうするのでしたか?

答えを見る

正解: 1. 介護過程の各段階にさかのぼって見直す
正解は「各段階にさかのぼって見直す」です。まず実施が計画に沿っていたかから確かめるのでした。

01アセスメント:思いと事実を分けて集める

これは架空の事例です。介護老人福祉施設で暮らすFさん(80代)が、この2週間、食堂に来ずに居室で食事をとるようになりました。

担当の介護福祉士は、まず本人から情報を集めることを大切にします。Fさんは「みんなの前でこぼすのが恥ずかしい」と話しました。これは主観的情報です。

観察では、箸で食べ物をつかみにくそうで、食べこぼしが増えていました。看護職員からは、体調に大きな変化はないと聞きました。これらは客観的情報です。

集めた情報をつなぎ合わせると、食べこぼしへの恥ずかしさが、食堂に来ない理由の一つと考えられます。「人付き合いが嫌になった」と決めつけないことが大切です。

02立案と実施:本人を主語に、目標を立てる

生活課題は、Fさんを主語にして「食堂でみんなと一緒に、気持ちよく食事をしたい」と表しました。

長期目標は「食堂でほかの入所者と食事を楽しめる」とし、評価日を6か月後にしました。短期目標は「自分に合った食器を選び、こぼさずに食べられる」です。

支援方法には、使いやすい食器をFさんと一緒に試すことなどを、誰が行っても同じになるよう具体的に書きました。計画はFさんに説明して同意を得て、チームで共有しました。

実施した日は、Fさんの言葉や食べた量を、事実のまま記録しました。食事の介助は第5章で学びました。

03評価:短期目標の達成から、次の段階へ

短期目標の評価日に、Fさんは選んだ食器でこぼすことが減り、「これなら大丈夫かも」と話しました。

短期目標は達成できたと判断し、次は食堂で過ごす時間を少しずつ増やす目標に進みます。もし達成できなければ、各段階にさかのぼって見直します。評価は、Fさんの状態に変化があったときにも行います。

この事例で大切なのは、ICFでいう「参加」に注目した点です。食べることだけでなく、みんなと過ごすというFさんの望む生活を目指しました。介護過程は、こうして本人の望む生活に近づくまで循環していきます。

段階Fさんの場合
アセスメント主観的情報「こぼすのが恥ずかしい」、客観的情報「食べこぼしが増えた」。生活課題は「食堂でみんなと一緒に、気持ちよく食事をしたい」
介護計画の立案長期目標「食堂で食事を楽しめる」(6か月後)、短期目標「自分に合った食器でこぼさず食べられる」
実施食器を一緒に試す。チームで共有し、言葉と食べた量を事実のまま記録
評価短期目標は達成。食堂で過ごす時間を増やす次の目標へ
Fさんの事例で見る介護過程(架空の事例。日本介護福祉士養成施設協会「介護過程の展開方法B」研修資料の枠組みをもとに作成)

あなたの場合は?

あなたの身近な人が、好きだったことをやめてしまったとき。その人の「思い」と「見えた事実」を分けて考えてみましょう。

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. まず主観的情報と客観的情報を集め、決めつけずに理由を考える
  2. 生活課題は本人を主語に表し、長期目標と短期目標を立ててチームで共有する
  3. 評価で達成なら次の段階へ、未達成なら各段階にさかのぼって見直す

LESSON 11-4 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. Fさんの事例で、「みんなの前でこぼすのが恥ずかしい」というFさんの言葉は、どちらの情報にあたるでしょう?

答えを見る

正解: 1. 主観的情報
正解は「主観的情報」です。利用者の思いや考えは主観的情報で、観察した事実は客観的情報でした。

Q2. Fさんの生活課題の表し方として、介護過程の考え方に合っているものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 食堂でみんなと一緒に、気持ちよく食事をしたい
ここがポイントです。生活課題は利用者を主語に、「〜したい」のように表します。本人が主体的に取り組めるようにするためです。

日常の場面で考える

Q3. あなたが担当なら、Fさんの短期目標が評価日に達成できていなかったとき、最初に確かめることはどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 支援が計画に沿って行われていたか、Fさんの反応はどうだったか
惜しかった人も大丈夫です。評価では、まず実施が計画に沿っていたかと利用者の反応から確かめ、立案、アセスメントへとさかのぼります。

レッスン11-4はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第11章 介護過程 のレッスン一覧
  1. 11-1介護過程とは
  2. 11-2アセスメント
  3. 11-3立案・実施・評価
  4. 11-4事例で考える介護過程

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出典(2件)
  1. 公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会「介護福祉士養成課程の教員の教育力向上に向けたモデル研修」科目7・8 介護過程の展開方法A・B(令和2年度社会福祉推進事業)
  2. 厚生労働省 社会保障審議会福祉部会 福祉人材確保専門委員会「介護福祉士養成課程における教育内容の見直し」(平成30年2月15日)