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第10章 医療的ケア ・ レッスン10-2

喀痰吸引の基礎とは?たんがたまる理由と安全のポイント

約5分 ・ 公開日 2026-10-06

このレッスンの問い

ふだん、私たちはなぜ一日中たんを吐き出さずに過ごせているのだと思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン10-1から

Q1. 前のレッスンの復習です。介護福祉士による口腔内・鼻腔内の喀痰吸引について、通知が示す限度はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 咽頭の手前まで
正解は「咽頭の手前まで」です。口腔内と鼻腔内の吸引は、咽頭の手前までを限度とすると示されていました。

01たんは、出す力や飲み込む力が弱いとたまる

ふだんのたんは咳で出したり無意識に飲み込んだりしていますが、有効な咳ができない、飲み込めないといった場合に、気道にたまってきます。

厚生労働省の研修テキストによると、気管の表面は細かい毛と粘液でおおわれています。毛は奥からのどの方へ動き、異物をとらえた粘液を外へ押し出します。これを繊毛運動と呼びます。

テキストは、吸引が必要になる例として、寝たきりで嚥下や呼吸の機能が低下した高齢者を挙げています。脳梗塞や進行期のパーキンソン病なども例に挙がっています。

のどの奥の咽頭もたんがたまりやすい所ですが、介護職員が吸引できる対象にはなっていません。

02吸引される人の苦しさと不安を知っておく

テキストは、吸引は時間で決まったケアではなく、その時の状態で必要になるもので、必要なときは迅速に対応されるべきだとしています。

自分でたんを出せず、他人に吸引してもらうことは苦痛です。たんがたまると呼吸が苦しくなり、命の危険を感じて不安になることもあります。

家族も同じように不安を感じています。本人の意思に気づかないケアや乱暴に見えるケアは、任せてよいのかという家族の大きな不安につながります。物品の扱いには個別性があるため、事前に家族や医療職とよく確認しておきます。

03安全の土台は、医師の指示・清潔・報告

吸引カテーテルを入れる長さは医師の指示を確認し、実施の前後には必ず手洗いをするなど、安全のための決まりを守ります。

咽頭の壁を強く刺激すると、吐きそうになる反射が起こります。これを嘔吐反射と呼びます。テキストは、食後間もない時はこの部位を刺激しないよう、やさしく吸引するよう述べています。

テキストの事例では、吸引中に吐き気が出ても、中止して落ち着けばヒヤリ・ハットとして報告します。嘔吐したならアクシデントとして報告します。いつもと違うことが起きたら必ず報告します。

ヒヤリ・ハットの考え方は、第2章の事故防止のレッスンで学びました。事実を報告することが、次のミスを防ぐ方策につながります。

こんなとき見えるサインの例
たんが引ききれないいくら吸引しても取りきれず、苦しい表情をしている
酸素が足りないパルスオキシメーターで、酸素飽和度がなかなか90%以上にならない
意識や顔色がいつもと違うぼーっとしている、呼びかけに反応がない、唇や爪が青紫色
なんとなく違う介護職員等も家族も、いつもと違う様子に不安を感じた
吸引で、介護職員等が医療職に連絡するタイミングの例(厚生労働省「喀痰吸引等研修テキスト 第三号研修(特定の者対象)」第Ⅱ章「ヒヤリ・ハット、アクシデント」をもとに作成)

あなたの場合は?

風邪でたんがからんで、うまく出せなかったときのことを思い出してみましょう。どんな気持ちでしたか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. たんは繊毛運動・咳・飲み込みで処理される。咳や飲み込む力が弱いとたまる
  2. 吸引は時間でなく状態で必要になる。本人と家族の苦しさ・不安を理解する
  3. 長さは医師の指示を確認し、前後に手洗い。いつもと違うことは必ず報告する

TERMSこのレッスンの用語

繊毛運動Ciliary movement

気管の表面の細かい毛が奥からのどの方へ動き、異物をとらえた粘液を外へ押し出す働き。

嘔吐反射Gag reflex

のどの奥の咽頭の壁などが刺激されたときに起こる、吐きそうになる反射。

気管カニューレTracheostomy tube

のどに開けた気管切開部から、気管の中に入れておく管。

LESSON 10-2 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 研修テキストの説明で、たんが気道にたまりやすくなるのはどんな場合でしょう?

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正解: 1. 勢いのある咳ができず、飲み込むことも難しい場合
正解は「勢いのある咳ができず、飲み込むことも難しい場合」です。ふだんは咳で出したり飲み込んだりして処理しています。

Q2. 研修テキストの事例で、吸引中に吐き気が出たが、中止して様子を見たら落ち着いた場合の扱いはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. ヒヤリ・ハットとして報告する
ここがポイントです。落ち着いた場合はヒヤリ・ハット、嘔吐した場合はアクシデントとして報告すると示されています。

日常の場面で考える

Q3. あなたは研修を修了した介護職員です。吸引を何度しても利用者のたんが取りきれず、苦しそうな表情が続いています。テキストに沿った対応はどれでしょう?

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正解: 2. 医療職に連絡する
惜しかった人も大丈夫です。たんが引ききれず苦しい表情のときは、テキストが挙げる医療職への連絡のタイミングです。

レッスン10-2はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第10章 医療的ケア のレッスン一覧
  1. 10-1医療的ケアと喀痰吸引等
  2. 10-2喀痰吸引の基礎
  3. 10-3経管栄養の基礎

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出典(3件)
  1. 厚生労働省「喀痰吸引等研修テキスト 第三号研修(特定の者対象)」第Ⅱ章(喀痰の吸引)
  2. 厚生労働省「今回の法改正で実施可能となった医行為の範囲」
  3. e-Gov法令検索「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則」(第26条の3)